低コストでICT小規模施工を実現する5つの事例、GNSSアンテナの使いまわしや2Dマシンコントロールの活用など:第2回i-Construction施工セミナー(3/3 ページ)
日本キャタピラーは、業界で急務となっている生産性向上を実現する手段の1つとして、小規模の現場でICT活用を後押しするアップグレードソリューションや2Dマシンコントロールといったサービスやシステムの提案を進めている。
TSと2Dアドバンスの機能で疑似3D施工
GNSSを受信できないエリアでのICT施工事例では、CAT 320標準機をアップグレードすることで搭載されるシステム「2Dアドバンス」の活用を提案した。
齊藤氏は、「山間部の砂防ダム工事の事例。山の中にあるためGNSSを受信できないスペースがあったり、建機が壁に隣接し衛生電波の反射波を取得している状況(マルチデパス)になりやすいという問題があった。こういった現場で役立つのが、2Dアドバンスのモニター画面に直接描ける簡単設計機能。モニター画面にタッチし、ドラッグして、点と線をつなぐだけで、設計面を作れ、ベンチマーク設定することで、マシンコントロールで作成した図の通りに掘削できるというもの。ICTで起工測量し収集した点群データなどを基にトータルステーション(TS)で切り出し位置を出せば、GNSSがなくてもこの機能で疑似3D施工が行える」と説明した。
3Dデータがない状況でICTを用いて床掘を行う方法を2種類解説した。齊藤氏は、「床掘は、シンプルに考えると、断面を垂直に切り落とし、指定の深さにすればいいという作業。つまり、掘る箇所さえ把握していれば、3次元の設計図は不要となる。CAT 320のモニターに発注者から提供された平面図を取り込み、座標を特定し、その図面に記載された高さに合わせオフセットで施工すれば完了する。複雑な床掘の場合は、CAT 320に装着された3Dモニターで設計図を作成すれば対応可能。手順は、まず、丁張りにバケットの爪先を当て、線形を作った後、画面にタッチし断面図を作成する。この図を線形と組み合わせれば3D図面が完成する。この図に則して、掘削すれば、複雑な床掘にも対処できる」と述べた。
最後に、付帯構造物設置工でのICT活用事例を伝えた。齊藤氏は、「道路土工で、3D機能を搭載した大型バックホウやブルドーザーを用いて道を工事することは容易だが、側溝などの付帯構造物設置工では機体が大きすぎて、スムーズに作業が進められないという課題があった。こういった問題を解消するのが、さきほども提唱したアップグレードソリューション。2Dマシンコントロールを内蔵したミニバックホウに、大型建機からGNSSアンテナなどの3Dキットを移設し、3Dミニバックホウに仕様変更することで、付帯構造物設置工でもICT工事が円滑に行える。通常、3Dミニバックホウは、費用負担が大きい割に、利用頻度が少ないため、製造には向かないが、こういった形で既存機器を利用して、3D化させるとメリットを生む。ICT舗装工用ブルドーザーのTSユニットを移し替えれば、TSと連携させることもできる」と語った。
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