マンホール取り付け型のIoTセンサーシステム、下水管内に入らず水位を測定可能:下水道展’19横浜
NJSは、2016年から実証試験を行っていたマンホール取り付け型の下水管内水位モニタリングシステム「SkyManhole」の受注をスタートした。
上下水道のインフラに関する調査・設計・施工管理・防災減災対策などの事業を展開するNJSは「下水道展’19横浜」(会期:2019年8月6〜9日、パシフィコ横浜)に出展し、2019年7月から受注を開始したIoT型マンホールセンサーシステム「SkyManhole」を披露した。
LPWA無線を生かし、低コスト・広範囲にモニタリング可能
SkyManholeは、LPWA(Low Power Wide Area)無線を活用し、下水管内の水位などを低コスト・広範囲にモニタリングできる新しいタイプのマンホール。都市型水害の早期検知や雨天時の侵入水発生箇所の絞り込みが可能になる。
水位の測定は、マンホールの裏面に、専用のセンサーノードと水位計を取り付けて行う。複数のマンホールに装着することで、設置箇所ごとの水位が調べられるとともに、各エリアの分析が実現する。
観測方法は、オフラインとリアルタイムの2種類に対応している。オフライン方式は、現場巡回時に下水管内に入らず、タブレットやPCといった端末を用いて、センサーノードに蓄積されたログデータをLPWA無線で受信する。収集した各地点のデータは専用クラウドサーバに送り、統合的なモニタリングと管理が行える。
リアルタイム方式は、センサーノードに保存されたログデータをLPWA無線で中継機に送り、その後ゲートウェイを介して、クラウドサーバに送信する。現場に足を運ばずに、センサーノードと水位計を備え付けた地点の観測が行える。
クラウド上で使えるモニタリングシステムは、地図上でセンサーの登録やリアルタイム監視ができる他、GoogleMapと連動し観測地点の検討にも利用できる。
NJSの担当者は、「センサーノードはLPWA無線でデータを送るため、低消費電力・長時間稼働を実現した。管内水位によって通信頻度を切り替えられ、搭載したバッテリーで約3年間駆動する。LPWA無線の通信距離は、条件により変動するが、約1キロ。中継機を設けることで、最大約3キロまで伸ばせる。独自の伝送方式と通信の暗号化で高いセキュリティ性を有している他、このシステムはマンホールごとの電源工事が不要なので、低コストや短期導入を後押しする」と語った。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 鳥取県の測量・建設コンサルが開発した“GISの道路台帳管理システム”、行政で多数の導入実績
鳥取県に本社を置くアイコンヤマトは、GISシステム「すいすい君シリーズ」を開発し、地域に根差した企業として、地元・鳥取県 県土整備部の道路や河川の台帳管理に採用されている。すいすい君シリーズは、電子地図上に帳票や報告書の他、写真・動画も一元的に管理できるため、地図を使った幅広い業務でペーパーレス化や作業効率化を図ることができる。 - IoT活用技術でインフラ構造物の維持管理業務を効率化/高度化、OKI
沖電気工業(OKI)は、センシング技術やAIなどのIoT活用技術によりインフラ構造物の維持管理業務の可視化、作業効率化などをトータルにコーディネイトするインフラモニタリングソリューションを提唱する。 - 地中管を素早く探査、パイプロケーターに11年ぶり新製品
大阪ガスは地中に埋設されたガス管などの位置を探査できる「パイプロケーター」の新製品を11年ぶりに発売した。センサーコイルの追加により探査精度を高めた他、探査したい管のみの検出を可能にするなど改良を図った。 - インフラ管理で、AIやIoTなど新技術を1000件導入
政府は2018年6月4日に未来投資会議を開き、国の成長戦略「未来投資戦略2018年」の素案を示した。建設分野では、インフラメンテナンスで老朽化した重要構造物の点検・診断において、ロボットやセンサーといった新技術を導入する施設管理者を100%とする目標を設定した。