IoTで管理効率化や河川監視を支援、NECが杉並区でスマート街路灯の実証開始:IoTネットワーク
NECが杉並区内で「スマート街路灯」の実証を2019年8月から行う。センサーやネットワークカメラを装備しIoT化したスマート街路灯によって、区内12カ所の街路灯および周辺情報を一元管理。緊急時の対処法などを検証していく。
NECは2019年7月24日、杉並区における「スマート街路灯」の実証を行うことを発表した。実証期間は2019年8〜12月中。
スマート街路灯とは、無線通信機器によるネットワークによって街路灯をIoT化するシステム。カメラや各種センター、AIなどを装備することで街に関するさまざまなデータを効率的に収集でき、故障への迅速な対応や天候・エリアに応じたきめ細かな照度設定といった維持管理の効率化が可能となる。
今回の実証では、既存街路灯に後付け可能なヘッドモデル型を採用。善福寺川周辺など12カ所の街路灯に、照度、温湿度、振動・傾斜を計測するマルチセンサーや水位センサー、ネットワークカメラを設置する。照明の状態やカメラ映像からの水位、各種センサー状況を区役所内のPCで常時確認しながら、異常発見時におけるアラーム通知など早急な対処ができるか検証していく。
スマート街路灯には、街路灯および周辺情報の効率的な一元管理以外にも、街全体のネットワーク化によるにぎわい創出効果や安全安心な暮らしの実現など、より発展的な活用も期待されている。例えば通行者の属性をAIで解析しイベント情報や広告をLED表示する、不審な人物・ものをいち早く検知・監視し住民に防犯・防災情報を提供するといったことも可能となる。
また実用化に向けて開発が進む第5世代移動通信システム(5G)や自動運転技術と組み合わせることで、スマート街路灯が自動運転社会を支える新たなインフラになる可能性も秘めている。
NECでは、生体認証や映像解析を含むAI、IoT関連の先端技術を活用して、安全・安心で効率・公平な都市の実現を支える事業「NEC Safer Cities」に取り組んでいる。スマート街路灯は、同事業の実現に向けたソリューションやサービスの開発を加速・強化するものとの位置付けだ。
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