路面性状と道路下空洞の調査を時速80キロで同時に、複合探査で維持管理の効率化:メンテナンス・レジリエンスTOKYO 2019
三井E&Sマシナリーは、路面性状と道路内部の空洞を同時に調べられる特殊車両を販売展開している。
三井E&Sマシナリー(旧・三井造船)は、路面性状と道路内部の空洞を調査することができる「複合探査システム」の実機を「メンテナンス・レジリエンスTOKYO 2019」(会期:2019年7月24〜26日、東京ビッグサイト)に出展した。
道路表面と内部状況を把握することで、補修優先度を把握
複合探査システムは、特装・特架車両を製作しているトノックスと2016年に共同開発したワンボックスタイプの車両で、三井E&Sマシナリーのレーダ技術とトノックスのレーザー技術を融合させている。車体のルーフ後部にレーザー照射で路面性状を測るレーザー装置を搭載し、車体下部には道路下の空洞を探る電磁波レーダ装置をそれぞれ備える。
これまで別々に検査していた路面下空洞や橋梁(きょうりょう)床版損傷などの内部探査と、ひび割れや損傷状況といった道路表面の性状計測を同時に行うことで統合管理が実現する。
道路表面と内部状況の同時計測によるデータ整合性の向上と併せ、統合した結果を提供することで、補修すべき優先度を付けることができ、維持管理の効率化にもつながる。
路面性状の測定は、半導体レーザーの光切断法でひび割れとわだち掘れを確認し、光点変位法で平たん性を計測。走行速度は時速80キロまでに応じ、計測幅は4メートルで深さは320ミリまで。一方の空洞調査は、FMCW方式の電磁波レーダーで計測幅は1700ミリ、測線数は12線となっている。
ここ数年、全国的に社会インフラの老朽化が表面化してきており、インフラ設備の長寿命化計画が進められている。長寿命化にあたり、維持管理のための調査・点検の必要性が高まる中で、技術者不足を補う調査・点検技術は急務となっている。
三井E&Sマシナリーグループでは、三造試験センターの路面下空洞探査サービスをはじめ、橋梁床版調査、トンネル覆工検査など、それぞれのニーズに合ったレーダ装置を自社開発してきた。2004年には、コンクリート内部状況を3次元映像化したデータで詳細に把握できるマルチパスリニアアレイレーダを開発。JR東日本と共同開発したトンネル覆工内部探査車へ搭載して実用化に成功し、現在は路面下空洞・床版損傷調査などへ適用範囲を拡大している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- “計測車両MMSで点群”を取得するインフラ維持管理システムを“静岡空港”で検証、「空港版インフラドクター」
東急電鉄と富士山静岡空港は2019年3月13日、次世代型の施設運営・管理モデル構築を目指す「静岡空港」で、3D点群データと高精度カメラを活用した空港保守管理業務の省力化システム「空港版インフラドクター」の実証実験を開始した。 - NEXCO各社が導入を進める高速道路の最新「維持・管理技術」が集結
NEXCO3社を含むグループは、「ハイウェイテクノフェア2018」で多彩な高速道路のメンテナンス技術を共同ブースで披露した。 - 地上点群データと埋設物モデルを統合したCIM、HoloLensで施工箇所を“可視化”して事故防ぐ
大成ロテックは、CIM(Construction Information Modeling)と、MR(複合現実)技術を組み合わせ、道路埋設物を現場で可視化する新技術を開発し、和歌山市内の電線共同溝工事に初適用した。この技術により、通常は見ることのできない、地中の構成物を着工前に確認することで、工事中に起きやすい埋設管の破損事故などが防げる。 - “路面性状”を測定する16のICTが一般道で実証試験、国交省
国土交通省は、2017年から技術公募していた「路面性状を簡易に把握可能な技術」で、応募された技術の一般道路での試験を行い、その結果をとりまとめた。