高性能センサー搭載の安価な3D点群モデリングシステム、30秒で最大277万点の点群の取得が可能:メンテナンス・レジリエンスTOKYO 2019
北陽電機製の屋外に対応した2次元側域センサー「URM-40LC-EW」が、Haloworldが開発を進める3D点群データモデリングシステム「Be THERE」に採用された。
センサーや通信機器を製造・販売する北陽電機は、「メンテナンス・レジリエンスTOKYO 2019」(会期:2019年7月24〜26日、東京ビッグサイト)に出展し、屋外に対応した2次元側域センサー「URM-40LC-EW」が採用された3D点群データモデリングシステム「BeTHERE」を披露した。
メッシュモデル生成までの一連の処理を自動化
URM-40LC-EWは、2019年4月に北陽電機が発売した2D LiDAR(Light Detection and Ranging)。データやエリアといった2つの出力タイプに切り替え可能で、反射率10%の物体でも18メートルの広範囲検出が行えるのが特徴だ。反射率90%の対象物だと最長40メートルの距離でも探知するという。光源は波長905メートルの半導体レーザーを搭載。建設重機に取り付けることで、残土のボリューム体積計測や架空線と建機との接触監視などに活用できる。価格は45万円(税別)。
BeTHEREは、アプリケーションや電子機器を展開するHaloworldが、2019年9月にリリースを予定しているシステム。システムを構築する3次元点群計測ユニットのセンサーとしてURM-40LC-EWが組み込まれた。
システムのワークフローは、まず、バッテリー、HUB、ボードPC、計測データストレージを内蔵したユニットの広角カメラとURM-40LC-EWで、3次元点群データを計測する。測定したものをユニット内の送信機能で、Wi-Fiを介してPCに送る。その後、PCにダウンロードした専用の点群自動処理アプリで、その点群情報をフィルタリングやレジストレーション、メッシュの適正化を行い、メッシュモデルを作るという流れだ。
北陽電機の担当者は、「ユニットは、Wi-Fiを用いた遠隔操作に対応しており、設置場所にいなくても3次元点群情報を得られる。装着したセンサーと広角カメラは、180度の旋回が行えるため、全方位での3D計測を可能としている。また、最大277万点の点群の取得ができ、最高で半径60メートルにある物体を検出する。測定時間は約30秒と短いため、スムーズな作業を後押しする」。
専用アプリは、「複数の点群データを集約し、3Dモデルの精度向上を図れる。レジストレーションは、測定位置に高低差があっても高さや向きなどを整え、統合を進められる。BeTHEREの販売価格は、200万円以下になると聞いており、既存の測量機を用いたシステムに比べ、低コストで点群の取得から3Dモデルを作れるシステムになると見込んでいる」と説明した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 橋梁保全の現場を点群とパノラマ画像でバーチャル化、ブラウザ上で共有
構造計画研究所、川田テクノロジーズ、川田建設の3社は、橋梁保全の工事現場を3次元バーチャル化する「BridgeStudio」を開発した。BridgeStudioはブラウザべースのアプリケーションで、高解像度のパノラマ画像と3次元点群データで構築された3次元空間を自由に歩き回ることができる。 - “BIM確認申請”や“3D点群データ”の機能を強化、「GLOOBE 2019」をリリース
国産のBIM(Building Information Modeling)ソフトウェア「GLOOBE(グローブ)」の最新バージョンが2018年10月17日にリリースされる。最新版では、広がりつつあるBIMモデルによる建築確認申請への対応とドローン測量で取得した3次元点群データとの合成機能を追加している。 - 山岳トンネル工事の切羽面を“3Dスキャナー”で点群データ取得、整形が必要な箇所を可視化
西松建設とビュープラスは、山岳トンネル切羽掘削面の整形作業の安全性向上と効率化を目的に、「切羽掘削形状モニタリングシステム」を開発した。高速3Dスキャナーで、切羽面の整形が必要な箇所を15秒程度で迅速に可視化し、作業効率と安全確保をもたらす。 - ドローン測量の「全ての課題をクリアする」、国際航業だから実現できる3次元測量サービスとは?
ここ数年で建設業界でも測量業務への導入が広がっている「ドローン(UAV)」。ドローンを利用した測量において、業務効率や精度のカギとなるのが測量に関するソフトウェアだ。航空測量をはじめとする「地理空間情報技術」のフロントランナーである国際航業は、70年以上にわたって培ってきたセンシング技術とノウハウを生かし、ハイエンドなデータ解析用ソフトウェア「Pix4Dmapper」をはじめ、国際航業だからできる万全なサポートも含めた、ドローン測量に関する一貫したサービスを展開している。