橋梁保全の現場を点群とパノラマ画像でバーチャル化、ブラウザ上で共有:点群
構造計画研究所、川田テクノロジーズ、川田建設の3社は、橋梁保全の工事現場を3次元バーチャル化する「BridgeStudio」を開発した。BridgeStudioはブラウザべースのアプリケーションで、高解像度のパノラマ画像と3次元点群データで構築された3次元空間を自由に歩き回ることができる。
構造計画研究所、川田テクノロジーズ、川田建設は、橋梁(きょうりょう)保全の工事現場を3次元バーチャル化する「BridgeStudio(ブリッジ・スタジオ)」の試験運用をスタートさせた。
360度カメラとスマホを組み合わせた手持ち計測機でデータ取得
BridgeStudioは、ドイツNavVisが開発したWebブラウザタイプのアプリ「IndoorViewer」をベースにしている。独自の計測機器で橋梁の工事現場を計測し、取得した画像や点群データから3次元バーチャルデータを作成する。3次元データはサーバに保存され、PCや手持ちのタブレット端末から関係者間で閲覧することが可能だ。現場監督は、現場に居ながら最新の設計情報を確認し、設計者もオフィスから現在の施工状況などを把握できる。
バーチャル空間上で図面や指示項目を示す機能も備わっているため、現場とオフィスをつなぐ新たなコミュニケーションツールになり得る。3次元バーチャル化した工事現場をブラウザを介して共有することで、現場への実地調査の確認回数を減らせ、オフィス内で業務を行う設計者と現場管理者の情報共有にもつながる。
現場をバーチャル化する計測機器は、構造計画研究所と川田テクノロジーズで共同開発した「HandMapper」。360度カメラとスマ―トフォンを組み合わせた手持ちタイプで、床版などで覆われたGPSが届かないエリアや足元が整地されていない場所でも、データを取得する。
BridgeStudioの実証実験は2019年5月、川田建設が施工中の「東北自動車道迫川橋(はさまがわばし)床版(しょうばん)取替工事」で適用した。橋長約215メートルの迫川橋では、主橋体の全ての点群データと380地点の画像データを約10時間で取得。2日後には、3次元バーチャル化した工事現場が関係者間で共有されたという。
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