オールインワンモジュラー型点検ロボット、GISとの連動で調査報告書の出力まで一気通貫:メンテナンス・レジリエンスTOKYO 2019
サンリツオートメイションは、インフラ点検の救世主と位置付けるモジュラー型オールインワン調査点検ロボットシステムの開発を東京都立産業技術研究センターと共同で進めている。このロボット1台さえあれば、狭小空間の調査はもちろん、データの蓄積、レポートの作成まで、一気通貫で容易に行うことができるという。
サンリツオートメイションは、開発中のオールインワン調査点検ロボットシステムを「メンテナンス・レジリエンスTOKYO 2019」(会期:2019年7月24〜26日、東京ビッグサイト)で出展した。
従来手間が掛かっていた報告書作成が自動化
これまで道路のインフラ点検は、人が入れない小さい管ではほとんど行われてこなかった。数としては相当数に上る未点検管を調査する目的で、サンリツオートメイションが中心となって点検ロボットの開発に着手。東京都立産業技術研究センターの「公募型共同研究開発事業」に採択され、システム構築をともに進めてきた。
小型クローラーロボットは、市販のゲームパッドで遠隔からゲーム感覚で簡単に操作できる。地理情報システム(GIS)と連携しているため、設備情報/地図/画像/調査記録/ロボットの自己位置といった各種データが地図と結び付けられ、現場情報が可視化される。点検結果は即時にレポーティングされ、報告書や調査書として出力することが可能で、従来の様に点検データをその都度整理することも必要無くなる。
遠隔操作システムとロボットの通信は、Wi-Fiのみの最小構成や無線LANルーターとPCを有線で接続する標準構成などを現場に合わせて選択できる。特殊な通信網ではなく、追加の通信インフラも必要としない。
ロボットのサイズは、390(幅)×400(高さ)×720(奥行き)ミリ。電源は24ボルトバッテリー2本で、1.5時間連続で稼働する。走行速度は毎秒0.7メートル。レスキューロボットの技術を応用したクローラー式の駆動装置のため、不整地などでも堆積物を乗り越えられる他、深さ5センチの浸水にも対応する。
搭載カメラは、NTSC対応の360度カメラと、物体の構造を認識するTOFカメラ。さらに、オプションで、HDカメラと熱画像カメラ、赤外線夜間カメラも付けられる。センサーは、3軸加速度センサーとジャイロセンサーの他、レーザー距離センサー、温度計、ガス濃度を計測できるセンサーも追加できる。
専用のコントローラーは、アナログ入力式のジョイパッドが装備されたタッチパネル式ノートPC。専門知識がいらないため、作業員がすぐに使え、調査精度の差異が生じにくく、導入のハードルも低いという
製品化に向けて、凹凸面での走行や振動耐久テストなど評価試験が繰り返されているという。モジュラー型点検ロボットで、カルバートや地下空洞(特殊地下壕・亜炭鉱など)といった人が入れない狭小空間での点検を実現させ、デジタル技術で点検品質の標準化を図るとともに、点検員の人手不足を補っていく。
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