イクシスは、手動式の床面ひび割れ検知ロボット「Floor Doctor」を2019年7月に発売する。床面の損傷データと位置情報をセットで取得でき、図面との重ね合わせが容易にできるという。
シンプルな機構で点検業務をサポート
Floor Doctor(フロアドクター)は、業界初となる手動式の床面ひび割れ検知ロボット。大型施設などで、ビル設備の稼働が停止する夜間に行われる床面の損傷状況の確認/撮影の業務を支援する。主に、大型物流倉庫における完成検査と定期検査、プラント、大型ビルの完成検査などへの適用を想定している。
装置は、本体のフレームにマウントしたカメラと、ディスプレイ、移動距離を表示するメーター、ハンドルなどで構成。進路前方にはレーザー光が照射され、手押しによる装置の直進移動をガイド。フレームの接地点3カ所には車輪がはめ込まれており、前方2カ所の車輪に移動距離計測用センサーが搭載。センサーは10ミリの計測分解能で、位置情報を取得できる。
搭載カメラは、付け替え可能だが、Canon EOS 5D Mk.4の超広角ズームレンズを装備した仕様を例示している。また、撮影範囲を赤色レーザーで表示する他、手元のディスプレイで実映像を確認することができ、正確な撮影を支援する。
取得したデータは、AIを活用した損傷判定を自動化することで、検査報告書の作成時間が短縮する。
これまでの点検業務では、人手や時間の確保が難航したり、点検技能者によって品質にばらつきが生じるなどの問題点が指摘されてきた。Floor Doctorは、これらの課題解決を目指し開発に着手。イクシスでは、「シンプルな機構を生かした床面以外への応用以外にも、位置情報の取得精度を高める開発も進めている」。
発売は2019年7月の予定で、価格はオープン。サイズは(幅)930×(奥行き)1100×(高さ)965ミリ(突起部除く)。重量は20キロ。
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