會澤高圧コンクリート、米ベンチャー開発のドローンをインフラ点検に活用:ドローン
會澤高圧コンクリートが、米航空宇宙ベンチャーのトップフライトテクノロジーズと戦略的な提携を発表。高性能産業用ドローンを導入し、インフラの点検や農地管理などに活用する。
會澤高圧コンクリートは2019年6月25日、米航空宇宙ベンチャーのトップフライトテクノロジーズと戦略的な提携を発表した。高性能産業用ドローンを導入し、インフラの点検や農地管理などに活用する。
會澤高圧コンクリートはバクテリアの代謝機能でコンクリートのひび割れを自然に修復する「自己治癒マテリアル」の実用化を進めている。自己治癒性能を持つ液体タイプの補修材を、遠隔地にドローンで自動的に塗布する目視外ロボット施工法の早期確立を目指しており、最大積載量が最低でも10キログラム以上、航続時間が1時間を超える産業用機体を模索していた。
トップフライトテクノロジーズは混合ガソリンを燃料とするエンジンで発電しながら軽量バッテリーに蓄電して電力を供給する、ハイブリッド電力システムを搭載した独自機体の設計が特徴だ。飛行時間が15分と短い現行のドローンに比べ、TFTは1回の給油で長時間の飛行が可能であり、運行管理の手間を大幅に削減できる。さらに安定飛行の妨げとなるエンジンからの振動を抑制する機能などを備えており、悪天候でも安定した飛行が可能だ。
両社は第一弾として、燃料やセンサー類を除き、最大10キログラムの積荷を抱えて最長1時間の継続運航できる新型機2モデルを2019年夏をめどに開発する。機体には高性能ライダー、高解像度(4K)電子光学カメラ、サーマルイメージングカメラ、コンピュータユニットなどを搭載予定だ。
これにより、地上のデータをドローンから収集・統合・蓄積・更新して顧客に付加価値の高い情報を提供し続ける「地理情報システム」(GIS)サービスを展開できる。コンクリート系インフラの点検はもちろん、大規模農地の育成状況をモニタリングしながら農薬を散布したり、長大な送電線網を目視外で自動監視するなど、さまざまな用途に活用できる。
両社は、機体の販売も同時に進めながら国内の顧客基盤をつくり、2020年までに新会社などビジネスユニットの在り方について最終決定を行う。この間、他のテクノロジーベンチャーとの提携も積極的に進め、機体の運行や保守点検については、全国28カ所に認定教習所を展開する国内ドローン業界の老舗TEADと提携する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 構造物への補修材吹き付けドローン4号機を初公開、芝浦工大と共同開発
西武建設は、「第5回国際ドローン展」で、構造物への補修材吹き付けドローン「スプレードローンSera(セラ)」の新型機を公開した。同機は、芝浦工業大学の長谷川研究室と共同開発し、実用性を重視して有線タイプに戻した試作機となる。 - 「ジャパン・ドローン2019」取材総まとめ
ウェブサイトに掲載した特集記事を、印刷しても読みやすいPDF形式の「電子ブックレット」に編集しました。会員の皆さまに無料でダウンロードしていただけます。今回紹介するのは、2019年春に幕張メッセで開催された「ジャパン・ドローン2019(第4回)」の注目ブースの総まとめです。 - 建築用ドローン点検は普及するか?業界のパイオニアに聞く
ここ数年、建築・土木の分野でのドローン点検が、さまざまな展示会で出展されるようになり、各社のブースに人を集め話題となっている。空撮した俯瞰画像や映像からデータ解析するタイプのサービスが多くみられるが、ビルやインフラを実務レベルでドローン点検するとなると、調査診断のノウハウや画像解析の技術が必要になり、実証実験の回数がおのずと求められる。 - 「次に来るのは“大脳積んだドローン”」UAV開発の先駆者・野波健蔵氏の講演から探る
日本ドローンコンソーシアム(JDC)の野波健蔵会長(千葉大学名誉教授)は、「第5回国際ドローン展」で特別講演を行った。野波会長は、1998年から完全自律型ドローンのマルチコプター(UAV)開発に携わり、大学発ベンチャー自律制御システム研究所(ACSL)を立ち上げるなど、国内におけるドローン界の第一人者。これからのドローンには何が必要か、また、土木・建築領域で活用が拡大していくにはどんなことが壁になるのかを野波会長の講演から読み解く。