2021年には供給過多も追い風で需要回帰へ、これからのホテル市場で勝つには何が必要か?:CBRE不動産フォーラム2019(2/3 ページ)
CBREは不動産マーケットの動向をプレゼンするフォーラムを開催し、この中でインバウンド需要を受けたホテル需給の動向と展望を示した。
都市全体では稼働率が85%を下回る。供給過多に
2021年の需給展望では、訪日外国人を2020年に4000万人、2030年に6000万人と設定して、2020年には1.4億人泊、2030年2.2億人泊と推計。日本人の宿泊者数は、人口予測に基づき、2020年4.2億人泊、2030年3.9億人泊とした。ここから必要客室数をはじき出し、既存客室に新規客室数を合わせた数を比べて予想した。
土屋氏は、「各都市で異なるものの、都市全体では稼働率は85%を下回りストック超過に陥る。だが、新規供給のストック超過とも一概には言えなく、需要回帰の可能性も十分にある」と指摘。
具体例として、2014年の大阪に来て大阪に泊まった外国人は9割だったが、2015年以降急激に落ちている。要因としては、大阪では宿泊施設が足りず、1万円以下で泊まれる客室は皆無な状態となってしまったことがある。大阪以上に顕著だった京都は2014年にわずか4割、2017年には少し伸び、外に流出していた宿泊客が新たなホテルの新設によって戻ってきている傾向がみられる。しかし、「それでも“著しい”需給緩和とはならず、勝ち残るホテルと、価格競争に巻き込まれるホテルの優勝劣敗が生じる」(土屋氏)。
今後、ホテル市場の競争で勝ち残るヒントとして、「細やかな立地戦略」「客室タイプの多様化」「アッパークラス」「ブティック・ライフスタイルホテル」の4つのポイントを示した。
立地戦略では、最寄り駅や新幹線、主要空港からの交通利便性をはじめ、周辺の飲食店など商業繁華性、宿泊客を誘引する観光資源やコンベンション施設などが想定される。ただ、立地が良いケースは当然ながら土地の価格が跳ね上がるため、単純に新規開発だけではなく、土地の供給も考慮して計画を立てる必要がある。
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