2021年には供給過多も追い風で需要回帰へ、これからのホテル市場で勝つには何が必要か?:CBRE不動産フォーラム2019(1/3 ページ)
CBREは不動産マーケットの動向をプレゼンするフォーラムを開催し、この中でインバウンド需要を受けたホテル需給の動向と展望を示した。
事業用不動産サービス・投資企業のCBREは2019年6月9日、東京・虎ノ門ヒルズで「CBRE FORUM 2019 TOKYO」を開催した。
今回は、人手不足時代の不動産戦略をテーマに、グローバル、アジアパシフィック、日本のそれぞれの不動産投資マーケット全体の展望をはじめ、ホテル、インダストリアル、リテール、オフィスの各分析をリサーチャーによる講演やパネルディカッションを通して解説した。
当日のセッションのうち、インバウンドで需要が拡大すると同時に新規供給も増加を続けるホテル市場のプレゼンから、今後の見通しを読み解く。スピーカーはCBREジャパン ホテルズ、ディレクターの土屋潔氏。
インバウンドを追い風に膨張する宿泊需要
2018年の訪日外国人は3000万人を突破し、2011年と比べると5倍の規模に膨れ上がっている。政府では2020年に4000万人の目標を掲げており、インバウンド需要は当面の間、右肩上がりが継続するとみられる。
訪日外国人の増加に伴い、受け皿となる宿泊需要も増大しており、日本人も含めた延べ宿泊者数では、大阪、沖縄、東京の順に大幅な伸び率を記録している。
CBRE独自調査に基づく、日本各地でのホテル開発の状況は、主要9都市全体で、既存客室数の24%に相当する新規客室が2019〜21年に供給され、急激な開発がこれからの3年間で進む。都市別にみると東京は24%、大阪は32%、京都に至っては51%もの見込み。
2018年1月のリサーチでは、3年間で増える客室数は3万室との予測だったが、2019年2月に集計し直したところ、約8万室へと大幅にプラス修正。この1年間に公表された開発計画は2.5倍になった計算で、公表されず水面下で動いていたプロジェクトが、ピークとされる2019年をめどに顕在化してきたことの現れだという。
一方で、新たな宿泊需要の受け皿として期待され、Airbnb(エアビーアンドビー)などで注目を集めた“民泊”は、転機となる2018年6月に民泊新法が施行された。新法下では、民泊事業者は登録制になり、年間宿泊日数が180日以内と厳しく制限されたことで事業者の数が激減した。その後、事業者の数は若干戻りつつあるが、現在の宿泊者数を宿泊施設で区分すると0.9%にしか過ぎず、2018年5月以前の状況とは一変し、民泊の利用は限定的となっていることが分かる。
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