油圧ショベルを災害時にだけ“遠隔化”、CATが提案する「普段使いの防災建機」実機デモも:建設・測量生産性向上展2019(2/2 ページ)
キャタピラージャパンは、油圧ショベルを遠隔操作するためのリモートコントロールキットを2019年内に発売する。この建機遠隔システムは、国内の現場で相当数が稼働している同社の主力機「320/323」に“後付け”ができるのが特長だ。災害現場や危険を伴う工事での安全な施工に活躍が期待される。
災害復旧だけでなく、発破工事や経験の浅いオペレーターにも
リモートコントロールキットCat Commandに関しては、商品サポート部部長の杉村健二氏が解説。Cat Commandは、従来のラジコン建機と異なり、320/323に“後付け”が可能で、平常時は建機オペレーターが乗り込んで操作して、災害時などは遠隔操作に切り替える。「普段使いの防災建機」というコンセプトのもと、既存の油圧ショベルを国土強靭化に貢献する新たな機能を持った機種に生まれ変わらせるソリューションだ。
ショベル本体をはじめ、マシンガイダンスやグレードアシストといった各種テクノロジーは、建機の状況が可視化されるカラーモニターを搭載した専用送信機(コンソール)から操作する。専用送信機と本体は最大で400メートル離れても、掘る、積む、均(なら)すといった作業ができ、作業員は危険な場所に行かずに作業を完了できる。
ジョイスティックは指一本で動き、遠隔操作でもバケットの動きはスムーズ。ブームアシストやスイングアシストにより、転倒や接触といった2次災害も防止される。通信は、2.4GHzの周波数ホッピング方式で、無線局としての登録は不要だ。
システム構成は、操縦機の専用送信機とバッテリー、建機側にはコンソールシステム、送受信用アンテナ、システム状態を表示するLEDライトから成る。
杉村氏は、「Cat Commandも、デジタルプラットフォームにより、年次アップデートが掛かり、常に新しいテクノロジーへと進化する。土砂災害の現場では、一刻も早い復旧が求められ、人が乗って運転するのと変わらない精度で、迅速な作業が安全に行えるのは大きな利点。自治体との防災協定にもつながるのではないか。また、災害対応以外にも、危険性のある発破を伴う工事やアシスト機能を使った経験の浅い作業員の法面整形での導入も見込まれる。なお、対象機種の320は、大成建設と共同で自動化の検証も進めている。一定規模の建設現場で、複数の建設機械を自動連携させた無人化施工の実現を目指している」と語った。
また同日、キャタピラーは、次世代油圧ショベルやホイールローダーを使用したグローバル大会「Are you ready?世界No.1への戦い―2019キャタピラーグローバルオペレータチャレンジ」も、企画していることを明らかにした。建機オペレーターが技術を競うだけではなく、日々現場で活躍する全てのオペレータのチャレンジ精神を称(たた)える初のコンテストだという。
日本では2019年10月にキャタピラーのディーラーで日本地区予選を行い、11月に日本キャタピラーでのアジア大会を経て、2020年3月に米ラスベガスで世界大会を開催する。
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