英国内2万6000キロの水道管網を対象に、AIの劣化予測ソフトを丸紅らが開発:検査・維持管理
Fractaと丸紅は、英国北東イングランドに本社を置く「Northumbrian Water Group」と共同で、同国の水道管を対象とした劣化予測のソフトウェア開発に着手する。
AIで水道管の維持管理サービスを提供しているFractaと、1990年代より水事業に参画した丸紅は2019年5月17日、Northumbrian Water Group(NWG)と共同で、水道管の劣化予測ソフトウェア開発に向けた実証実験を行うと発表した。NWGが保有する英国内の総延長2万6000キロの上水管網を対象に、劣化を予測するソフトウェアと関連サービスの社会実装を目指す。
欧州が抱える水道管劣化問題を解決
Fractaは、配管素材や使用年数、土壌/気候/人口などの地理的データを組み合わせ、相関分析のアルゴリズムで水道管の破損確率や交換順序を導き出すソフトウェアを開発した。このソフトを用い、NWGから提供される上水管網と破損履歴のデータをもとに解析することで、水道管更新の最適なタイミングを知ることができ、中長期的な視点で設備投資額の大幅な削減が可能になる。既に米国では、18州で40を超える水道事業者に対し、同様のサービスを提供しているという。
水道管の老朽化が進行している欧州での水道管網劣化予測ソフトウェアの事業展開に当たり、Fractaと丸紅は2019年1月にパートナーシップ契約を締結。連携の第1弾として、水道事業効率化への要求が欧州で最も厳しいとされている英国での需要を見込み、NWGとデータ提供に関する契約を結んだ。今後、Fractaと丸紅は各種のデータ収集・分析を進め、2019年度中に英国を対象とした水道管劣化予測ソフトウェアの開発を進める。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 地中管を素早く探査、パイプロケーターに11年ぶり新製品
大阪ガスは地中に埋設されたガス管などの位置を探査できる「パイプロケーター」の新製品を11年ぶりに発売した。センサーコイルの追加により探査精度を高めた他、探査したい管のみの検出を可能にするなど改良を図った。 - IoTで老朽化したインフラを守る、効率的で強靭な基盤実現へ実証開始
三菱総合研究所、日立製作所、NTTデータの3社は経済産業省の「平成28年度 IoT推進のための社会システム推進事業(社会インフラ分野でのIoT活用のための基盤整備実証プロジェクト)」を受託し、2017年3月末まで共同で実証を行う。 - “液状化”や“道路陥没”対策に有効な「3次元地盤モデル」、渋谷再開発にも活用
「buildingSMART International Summit,Tokyo」が2018年10月16〜19日に開催された。プログラムの中から、3次元地盤モデル(3D subsurface model)の取り組みを語った応用地質・島裕雅氏の講演を取り上げる。 - 設計図面を建設現場に実寸投影する「MR」技術、Microsoft HoloLensを活用
インフォマティクスが提案するMR(複合現実)技術は、設計図面を建設現場に3次元で投影する方法。ヘッドマウントディスプレイは、PCやコードを必要としないMicrosoftの「HoloLens」を採用している。高センサーを搭載しているため、自分が動き回っても、図面がズレることが無い。