IoTで老朽化したインフラを守る、効率的で強靭な基盤実現へ実証開始:FM(1/2 ページ)
三菱総合研究所、日立製作所、NTTデータの3社は経済産業省の「平成28年度 IoT推進のための社会システム推進事業(社会インフラ分野でのIoT活用のための基盤整備実証プロジェクト)」を受託し、2017年3月末まで共同で実証を行う。
日本の社会インフラは、高度経済成長時代に整備されたものが多く、設備の老朽化や人口減少に伴う需要減、職員の高齢化に伴う技術継承への対応が大きな課題となっている。こうした課題に対応する取り組みの1つとして注目を集めているのが、IoT(Internet of Things、モノのインターネット)やCPS(サイバーフィジカルシステム)などの技術である。
IoTとは、モノのインターネットともいわれる技術で、従来は人がPCやスマートフォンなどで接続していたインターネットに、あらゆる「モノ(Things)」が接続するようになり、モノが受発信するデータを用いることで新たな価値を見いだそうという動きである。一方、CPSは、こうした現実と、通信した先のサイバー空間を密接に関係させ、人工知能(AI)やスーパーコンピュータなどの情報処理能力を現実の世界(フィジカル)にフィードバックさせるというシステムである。
こうしたCPSとIoTを活用すると、例えばビルの壁をIoT化し、センサーと通信機能を付加したとすると、部屋の壁付近の温度や湿度、振動などの環境は常時、遠隔地からでも監視できるようになる。さらに、これらのデータを取り続けていて、サイバー空間での分析技術を駆使することで、壁が経年劣化で壊れる予兆などを見つけることができれば、壁が壊れる前に修理することなども可能になる。こうした動きがCPSの価値だといえる。
第4次産業革命の技術を社会インフラの問題に適用
経済産業省ではこうしたIoTやCPSによりもたらされる新たな価値や産業構造の変革などを「第4次産業革命」と位置付け、こうした変化に対応できるような産業支援などに力を入れている(図1)。
社会インフラ領域で抱える老朽化や効率化などの課題解決のためにもこうした第4次産業革命に関連するIoTやCPSが活用する動きがひろがりを見せている。こうした流れの中、経産省では「IoT推進のための社会システム推進事業」を推進する方針を定め、その実証事業の1つとしてインフラ分野を設定。今回は「平成28年度 IoT推進のための社会システム推進事業(社会インフラ分野でのIoT活用のための基盤整備実証プロジェクト)」の公募を行い、三菱総合研究所、日立製作所、NTTデータの3社が2つのテーマで受託することが決まった(図2)。
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