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施工BIM活用の作法と塩梅(施工図のLODとBIM施工図への展開)【前編】「施工BIM活用の流儀」施工BIMスタートアップとステップアップの道筋(2)(3/3 ページ)

今回の連載は、施工BIMを導入するに当たって、初心者、入門者の視点で、日建連BIM専門部会発行の各冊子を分かり易く解説する事を念頭においた。また、広く世間に公開されている施工BIMに関する情報を鵜呑みにせず、施工BIMの実態を正しく冷静に見る視点や、施工BIMの今後の方向性や有るべき姿なども交えて解説する。これらの連載内容を今回「施工BIM活用の流儀」と名付けた。

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BIM施工図では、モデル上で調整し、整合性が取れる

 BIMで作成する施工図「BIM施工図」の意義を下図の用に整理した。

 また、BIMで施工図を作成する際は、「従来の施工図と同じ表現は必ずしも必要ではない」ことに早く気が付く事が最も重要だ。


「BIM施工図」の意義 出典:日建連 BIM専門部会

施工図BIMとLODの考え方

 施工図に必要な最小限の情報は、「建築、構造、設備の整合調整」「製作図の基準寸法の確認」「現場での墨出しができる」という事であると整理した。

 逆に言えば、これが平詳、天伏の必要条件と、あらためて認識し、施工図BIMでどこまで細かく表現するかの部位別詳細度、「施工図BIMのLOD」の大胆な見直しを行えば、大幅に作図手間を減らすことができると考えた。


従来の施工図のフローとLODの関係 出典:日建連 BIM専門部会

 上図は、従来の施工図のフローと施工図でのLODとの関係を表現したものだ。

左側が実施設計図、右側に進む程時間が経過し、施工図として求められる詳細度、「図面で確定・保証している内容」、つまりはLODが上がって行く事を表している。

 ここで言う「一次作図レベル」とは「構造と意匠の整合を施工図レベルで取り、この図面を「設備検討用に提供する」という段階、「二次作図レベル」とは「設備と建築の整合を取ったレベルでこの図面を細かい製作ものの作図用に提供する」という段階、「三次作図レベル」とは「各種製作図との整合を取ったレベルで、この図面で実際に施工する」という段階を表現している。

 この提案は、この図の「一次作図レベル」に照準を当てて施工図BIMのLODとして提唱し、「二次作図レベル」「三次作図レベル」と進んで上がっていくLODの要求レベルに関しては、部分詳細図や製作図で補って対応する、という考え方だ。

 以上、「施工図のLODとBIM施工図への展開(上)」の内容についてポイントを絞って解説した。

 次回の「施工BIM活用の作法と塩梅(施工図のLODとBIM施工図への展開)【後編】」では、「施工図のLODとBIM施工図への展開(下)」をテキストに、BIM施工図を実践する上で参考となる事例とヒントを紹介する。

著者Profile

福士正洋 / Masahiro Fukushi

1954年兵庫県生まれ 。1979年に早稲田大学大学院理工学研究科建設工学専攻修士課程修了後、大林組入社。現場施工管理、情報システム部門、建築本部長室を経て、2002年IT戦略企画室(建築現場担当)に配属。 2010年には建築本部BIM推進室、2013年から建築本部PDセンターで現職に就く。日建連では、2010年からIT推進部会BIM専門部会 主査を務める。

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