施工BIM活用の作法と塩梅(施工図のLODとBIM施工図への展開)【前編】:「施工BIM活用の流儀」施工BIMスタートアップとステップアップの道筋(2)(1/3 ページ)
今回の連載は、施工BIMを導入するに当たって、初心者、入門者の視点で、日建連BIM専門部会発行の各冊子を分かり易く解説する事を念頭においた。また、広く世間に公開されている施工BIMに関する情報を鵜呑みにせず、施工BIMの実態を正しく冷静に見る視点や、施工BIMの今後の方向性や有るべき姿なども交えて解説する。これらの連載内容を今回「施工BIM活用の流儀」と名付けた。
本連載は、日本建設業連合会 BIM専門部会発行の各冊子を参照しながら、施工BIM導入のポイントを、初心者、入門者の視点で、分かりやすく解説することを念頭に置いている。
連載の第2回は、「日建連 BIM専門部会・施工LOD検討WG」(以下、施工LOD検討WG)が作成した「施工図のLODとBIM施工図への展開」の内容を「施工BIM活用の作法と塩梅」と題して、前後編で詳しく説明する。
尚、この「施工図のLODとBIM施工図への展開」は、国交省のBIMガイドライン(2018年8月改定)の中で、技術的な検討における詳細度の参考資料として紹介されているため、これからの業界のスタンダードとして定着していくのではないかと期待している。
まず前編では、「施工図のLODとBIM施工図への展開」(上)の内容についてポイントを絞って解説する。
そもそも、「BIMモデルの詳細度」:LODとは?
BIMデータ連携・交換の際に重要となるBIMモデルの詳細度は、部位・部材毎の「3次元形状情報」と「属性情報」を、プロジェクト開始前に、あらかじめ建築生産プロセスのマイルストーン毎や利用目的に応じて、誰が、いつまでに、どこまで詳細に各情報を入力するかを明確に決めておく必要がある。基本設計や実施設計が完了した段階の、個々の部位・部材の詳細度を決めておくことで、受取側はBIMモデルの詳細度の程度を知り、ある程度チェックすることが可能だ。
また、BIMモデル作成を協力会社へ依頼する場合に、あらかじめ決めた詳細度の程度を示すことで、納品されたBIMモデルの詳細度や精度に齟齬(そご)が起こる事を回避できる。
米国のBIMForumは、2013年8月に「Level of Development Specification(LOD)」を公表し、各マイルストーン(例えば、基本設計終了時、実施設計終了時、竣工時など)や目的(施工図作成、仮設計画作成、干渉チェック、デジタルモックアップなど)に応じて入力すべき標準的な3次元形状および属性情報を部位毎に詳細に規定している。下図にその一部を抜粋した。
部位の分類が米国標準の「Uniformat」体系となっており、日本の実情に合わない上、日本では仕様書や施工要領書に記載する内容まで、属性情報として扱う部分もあり、そのままでは日本で利用することはできないが、BIMモデルの詳細度を表現する手法として参考になる。
施工LOD検討WGでは、早くから上記「Level of Development Specification」に着目し、2013年4月にドラフト版を入手、内容の調査検討を行った。この「Level of Development」の考え方が施工段階のBIMモデルを表現する上で有効と判断し、以降の活動の基本的な考え方とした。
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