貼るだけシートで日本のインフラを強靭に、3Mが土木事業を強化:スマートシティ(2/3 ページ)
日本で大きな課題となっているインフラの老朽化。政府も本腰を入れており、今後も全国でインフラ改修の需要は高まる見込みだ。スリーエム ジャパンはこうした需要拡大をターゲットに、同社の土木分野製品の拡販を目指す方針だ。狙うのは“コンクリートの高品質化”ニーズだ。
貼るだけでシートが乾燥を防ぐ
3Mがコンクリートの施行現場向けに注力展開する主な製品は「3M コンクリート保水養生テープ 2227HPシリーズ」(以下、養生テープ)、「3M コンクリート給水養生用水搬送シート 1117」(以下、養生シート)、「3M コンクリート型枠ジョイント止水テープ 2237」(以下、止水テープ)の3種類。その名のとおり、養生テープと養生シートがコンクリートの養生作業向けの製品で、止水テープはコンクリートのジョイント部に生じる隙間から、不要なコンクリートが染み出るのを防ぐ製品だ。
養生テープは、型枠を外した後のコンクリート表面に直接貼り付けることで水分が逃げないようにする「封緘(ふうかん)養生」という状態を維持できる製品だ。2003年から展開している製品で、既に多くの採用実績があるという。2016年2月にはトンネル施行などにも適した強粘着タイプも発売した(図2)。
敷くだけで水を運ぶ
特徴的なのが2つ目の養生シートである。2015年12月から発売した新製品で、床版面に敷いてコンクリートの養生に用いる。コンクリートの表面に貼るように敷き詰めることで水分が逃げるのを防ぎ、養生を促進する。既に床版面の養生に使用するシートはマット状のものなどが使用されている場合が多い。こうした競合製品との差別化要因として3Mが挙げるのが、同社の養生シートが持つ「水を搬送する」という機能である(図4)。
この養生シートの表面には特殊加工が施されており、微細な溝がある。この溝によって養生シートとコンクリートの間にある水が、毛細管現象によって自然に広がっていく。この「水を搬送する」性質により、施工現場ではポンプなどの動力が必要な機器を用いず、じょうろなどの簡易な道具のみで養生作業が行えるという(図5・6)。養生に必要な水の量も削減でき、節水にもつながる。また、薄いことによりコンクリートの保湿状況が視認しやすくなるメリットもあるとする。
3Mの養生シートの材質は特殊ポリオレフィンで、薄さは0.4ミリメートル。これはマット状の製品と比較して非常に薄く、施工現場で市販のカッターなどで簡単に切断できる。一度使用した後も、数回程度は転用することが可能で、施工費の削減にも寄与するという。
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