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貼るだけシートで日本のインフラを強靭に、3Mが土木事業を強化:スマートシティ(3/3 ページ)
日本で大きな課題となっているインフラの老朽化。政府も本腰を入れており、今後も全国でインフラ改修の需要は高まる見込みだ。スリーエム ジャパンはこうした需要拡大をターゲットに、同社の土木分野製品の拡販を目指す方針だ。狙うのは“コンクリートの高品質化”ニーズだ。
隙間があっても大丈夫
養生シートの「水を搬送する」という性質を活用することで、「飛び石」状態のコンクリートの養生も行えるという。飛び石とは複数のコンクリート部分の間に隙間がある状態のこと。養生シートの端を給水タンクに浸し、隙間を覆うように複数のコンクリートの上に敷くことで、まとめて養生が行える(図6)。養生シートは高さ15センチメートルまで水を運ぶ能力があり、傾斜面のコンクリートにも利用できる。
東北の復興現場で採用
2015年12月に発売した養生シートは、現在全国で30件以上の工事現場で採用が検討されているという。岩手県釜石市で復興計画の1つとして進められている「向定内橋(むかいさだないはし)」の工事現場に採用された実績があり、マットタイプの製品と比較して使用する水量を10分の1に削減できたとする(図7)。
こうした3Mのコンクリート施行現場向けの製品は、高機能な一方で一般的な製品よりは多少価格が高くなる場合もある。同社では「初期コストの観点では高くなる場合もあるが、施工コストの削減や、コンクリート品質の向上への寄与といった全体的な観点で見てもらえるように提案を進めていく」としている。土木分野の他、建築分野も視野にいれて提案を進めていく方針だ。
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