エネルギー消費が“正味ゼロ”のビル、実現にはまず50%の省エネが必須へ:省エネ機器(2/5 ページ)
2030年までに新築建築物の平均でZEBを実現する政策目標が掲げられる中、経済産業省では、エネルギー基本計画に明記されたZEBの政策目標達成のために、ZEBロードマップ検討委員会を開催。ZEBの定義やロードマップなどの検討内容を発表した。
ZEB実現のノウハウの欠如
2009年に行われた「ZEBの実現と展開に関する研究会」では2030年頃までの技術革新を見据えたZEBの実現可能性について評価を行った(図2)。
これらの評価に基づき、ZEB実現に向けた要素技術の開発については、政府の支援なども含めてさまざまな開発が進められてきた(図3)。しかし、これらの技術を組み合わせて、ZEBを実現するような設計手法や建築方法などは、ノウハウの確立や共有化が行われておらず、ZEBを実現するためには毎回それぞれが試行錯誤しながら建設しなければならない状況が続いており、有効な実証が進められていない。そのため経済合理性のある形でZEBが実現できるのかどうか分からない状況である。
ZEB実現の動機付けが乏しい
さらに、先述したノウハウや経済合理性の欠如とも関連するが、建築主やテナントにとってZEBを利用(建築)するメリットが生まれなければ、ZEB実現への動きは起こらない。しかし、現状ではZEBのための追加コストが必ずしも経済合理性に見合うとは限らない状況だ。つまり建築主にとっては「ZEBに取り組むメリットがない」という状況だといえる。
ZEBの利点としては、光熱費削減やエネルギー自立化によるBCP(事業継続計画)性能の向上などがあるが、現実的にはこれらを利点に感じている建築主やテナントは少ない。またZEB化への設備投資は建築主が負担する一方でテナントにとっては光熱費削減のメリットがあるという状況で、それぞれの利益が一致していないという問題を抱えている。
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