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エネルギー消費が“正味ゼロ”のビル、実現にはまず50%の省エネが必須へ省エネ機器(1/5 ページ)

2030年までに新築建築物の平均でZEBを実現する政策目標が掲げられる中、経済産業省では、エネルギー基本計画に明記されたZEBの政策目標達成のために、ZEBロードマップ検討委員会を開催。ZEBの定義やロードマップなどの検討内容を発表した。

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 ZEBとは「ネット・ゼロ・エネルギー・ビル」のことで、年間の1次エネルギー消費量がネットでゼロとなる建築物を指す。簡単に言い換えると、年間の電気の消費量と同等以上に発電し、電力の足し引きがゼロになる建築物のことである。エネルギー需給の抜本的な改善の切り札になる他、国際的な地球温暖化対策への取り組みへの貢献度も高いため、その実現には大きな期待が寄せられている。

 日本政府は2014年4月にエネルギー基本計画を決定し、その中で「建築物については、2020年までに新築公共建築物などで、2030年までに新築建築物の平均でZEBを実現することを目指す」とする。

 これらの一方で、その実現には大きな課題が残されている状況だ。主に3つの大きな課題が存在するとZEBロードマップ検討委員会は指摘する。

定まっていなかった「ZEBの定義」

 その内の1つが「ZEBの定義」の問題だ。ZEBは概念として正味のエネルギー消費がゼロの建築物だとされているが、それは1つの建築物によるものなのか、複数の建築物を含む敷地内全体の電力指すのかなど、実際に実現することを考えれば解釈が分かれる領域も多い。これらの定義が明確になっていないため、業界全体として目指すべき解釈や必要な施策の方向性が定められていな状況である。一方、建築関連企業などはZEBへの取り組みを積極的にPRしているが、各社の定義が異なることから、実際にどちらが優れているのかなど比較が困難な状況が発生している。

 海外の状況を見ても、ZEBに関する定義についてはさまざまな議論がなされているが、明確なものは定まっていない状況だ(図1)。

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図1 海外におけるZEBの定義(クリックで拡大)出典:ZEBロードマップ検討委員会事務局がそれぞれの資料から作成

 これらの理由として、ZEBロードマップ検討委員会は「狭義の定義付けをした場合、用途や規模などの物理的な条件によりZEBの実現が限定され、業界関係者のモチベーションを低下させる可能性がある。一方で、広義の定義付けをした場合、ZEBに関する目標や施策そのものの政策的な意義が低くなる」という悩ましい点を指摘する。ZEBの定義を明確化するためには、この政策的な意義とZEBの実現可能性のバランスに配慮することが重要になるという。

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