高砂熱学の全てのライン管理職が参加 本気の「BIMマネジメント講習」:日本列島BIM改革論〜建設業界の「危機構造」脱却へのシナリオ(15)(2/3 ページ)
高砂熱学工業では早くからBIMに取り組み、その活用範囲を着実に拡大してきた。しかし、BIMの真価を発揮するためには、担当者レベルの取り組みだけでは不十分だと考えた。BIMや情報マネジメントは設計・施工プロセスそのものを改革するもので、その実現には管理職の理解と主体的な関与が欠かせない。そこで、BIM活用をさらに一段高いレベルへ引き上げるべく、全ての設計・施工部門の管理職(課長職以上)を対象とした「BIMマネジメント講習」を実施した。
ライン管理職向けBIMマネジメント講習の概要
設計・施工部門の全てのライン管理職に実施したBIMマネジメント講習は、13〜17時までの半日の講義で、2026年1〜3月の期間、100人を超える管理職が参加した。講義は2部制で、第1部は「デジタル技術による業務改善」、第2部は「情報マネジメントによるプロセス改革」だ。
講習では、高砂熱学工業の建設DXビジョン「TakasaGo! DX」に、管理職としてどう取り組むのかという話からスタートした。DXの成長過程を下図のように4段階に分け、ステップアップしていくことで、BIMや情報マネジメントで自らの業務プロセス改革につなげられるまでの流れを説明した。
第1部は、BIMモデルの特徴やメリットを解説した上で、その活用方法を自らのプロジェクトで、どう取り入れるかという内容とした。BIMの活用方法を下図のように6つに分類し、さらに15の項目についても触れた。これは米国の「NBIMS V4 BIM USEの定義(BUD)」を基にしている。
説明後には、講習参加者の設計・施工部門の管理職に、自らのプロジェクトで、どのBIM活用をすれば、どのような成果が期待できるかをディスカッションしてもらい、その結果を発表してもらった。
第2部は、現状の一般的な設計・施工の業務プロセスを説明し、BIMのI(情報)を中心とした業務プロセスにどのように変えていく必要があるかという内容だ。BIMモデルの活用だけでは、プレゼンや干渉チェック、図面の整合性確保に役立っても、設計変更などの根本的な業務プロセスの改善にはつながらないと説き、情報の管理・運用を軸とした設計・施工プロセスの整理と、情報マネジメントの基本的な考え方となる「情報生産における計画プロセス」の導入についてレクチャーした。
第2部の演習課題は、現状の業務課題とその根本原因、さらに解決策を考えるというものだ。この内容は、BIMを対象とした講習の範囲からは外れると思われる方もいるかもしれない。しかし、企業なり組織なりが、BIMや情報マネジメントを導入しなければならない理由は、業務改革による生産性や品質の向上を目指すことにあり、単にBIMソフトウェアやクラウドなどのツールを使うことが目的ではない。
こうした根本的な課題の解決は、担当者レベルだけでは成し得ない。BIMを推進する部門が標準を作り、管理職を中心とした組織がプロジェクトで実践する必要がある。管理職自身が関連するプロジェクトの業務改善のために、BIMや情報マネジメントを積極的に使おうとする意思が欠かせない。そのために、このような演習課題を用意した。
講習の最後に、「ISO 19650」に基づくBIMや情報マネジメントとはそもそも何かについて回答した。最初から答えを提示するのではなく、段階的に知識を深めた上で本質にたどり着く方が、より深く理解できると考えたからだ。今回の講習は、ISO 19650の規格を学ぶことを目的としてはいない。そのため、できるだけ難しい用語を使わず、実務をイメージしやすい内容とすることを心掛けた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.


