AIが現場写真に自動タグ付け、熊谷組が写真検索システム開発:AI
熊谷組は、現場などで撮影した写真をAIで解析して属性タグを自動付与し、キーワード検索で目的の画像を探せるタグ付け写真検索システムを開発した。
熊谷組は2026年3月30日、AIを活用したタグ付け写真検索システムを開発したと発表した。現場などで撮影した写真をAIが解析して属性タグを自動付与し、ユーザーはキーワード検索で目的の画像が探せる。
熊谷組は、竣工した工事現場の画像データを専用クラウドストレージに蓄積している。しかし部署や現場ごとに保管場所が分かれ、プレゼンテーション資料や展示会パネルなどに写真を使用する際に、膨大なフォルダから探す作業が発生し、多くの時間を要していた。今回、職員を単純作業から解放し、本来業務に注力できる環境づくりの一環として、AIを活用したタグ付け写真検索システムを開発した。
新システムは、画像から言語情報を生成するマルチモーダルAIと連携。クラウド経由で入力された画像ファイルに対し、AIが画像内のオブジェクトや状況を解析してタグを出力する。画像ファイルとタグを組み合わせて管理することで、従来のファイル名検索では難しかった情報抽出を可能にした。
画像をアップロードする職員は、工事現場名や部門名などの「親フォルダ」と工種やプロジェクト名などの「子フォルダ」の二重構造で、ファイルをクラウドストレージに格納。AIが構造を読み取って、親フォルダ名と子フォルダ名の属性タグを自動付与する。
格納された全写真に対しては、AIによるタグ付け処理が毎日バッチで実行される。利用者は検索フォームにキーワードを入力することで、目的の写真をサムネイル形式で一覧表示できる。サムネイルをクリックすると、詳細なタグ情報の確認や高解像度のオリジナルファイルのダウンロードが可能になる。
適用例として、つくば市の技術研究所に置かれている無人化施工用の油圧ショベルとクローラダンプの画像ファイルを入力し、AIによるタグ付けを実施した。「油圧ショベル」で検索すると複数の該当画像がサムネイル表示される。サムネイル内の写真をクリックすることで、高解像度の画像とタグ情報を確認できる。
新システムは、情報の正確性を高めるため、閲覧ユーザーによるタグの追加/削除が可能なメンテナンス機能を備える。AIが付与したタグに不足がある場合は現場を知る職員が補完し、不要なタグは削除できる仕組みとした。利用者の増加に伴ってタグ情報がアップデートされる仕組みだ。
茨城県つくば市の熊谷組技術研究所に設置された無人化施工用の油圧ショベルとクローラダンプを対象に、新システムによるタグ付けを実施。「油圧ショベル」や「クローラダンプ」といったキーワードで検索すると、該当する画像がサムネイル形式で一覧表示され、任意の画像を選択すると高解像度の写真や詳細情報を確認できた。
今後は、写真内に写り込んだ黒板の文字情報を自動でテキスト化してタグを追加する機能の他、設計図面など画像以外のファイルを読み取ってタグを付与する機能も追加予定だ。AIによる自動タグ付けを基盤に、手動での検索が困難なデジタル資産の一元管理を推進する。
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