東京都庁が首都機能を止めずに大規模改修 省エネ化も達成した日本設計のFM手腕:ファシリティマネジメント フォーラム 2025(2/2 ページ)
公共建築物の老朽化が深刻化し、各地で建物リニューアルの動きが活発化している。建設費の高騰やカーボンニュートラルへの関心の高まりを背景に、施設の長寿命化と合わせて環境性能をも高める動きも目立つ。ただ、業務を継続しながら、改修を実現するにはさまざまな障害がつきまとう。こうした中で首都機能を担う東京都では、行政サービスを止めずに庁舎の大規模改修を実現に導き、ファシリティマネジメント(FM)の先進事例として注目を集めている。
超高層で首都機能を司る都庁舎の改修では、慎重な計画立案と実行が欠かせない。現状分析から、改修計画立案、施工、効果検証にも気を配ったPDCAサイクルを回し、業務継続の課題を解決しながら省エネルギー化も達成した。
環境負荷低減では、エネルギー消費動向を把握するところからスタート。第一本庁舎は冷水/蒸気の消費が約4分の1、空調動力が4分の1、照明やOAコンセントが4分の1となっていたため、割合が高い領域を省エネ化のターゲットに定めた。
機械設備の改修では、熱源や空調機の設備機器のダウンサイジングを検討し、熱負荷計算条件を変更。改修前の人員密度は1平方メートル当たり0.2人だったのに対し、実態に合わせて0.15人へと変更するなど、さまざまな数値の見直しを行った。
3庁舎全体の改修工事では、一次エネルギー消費量を37%削減した。加えて再エネ電力調達で38%減となり、計75%のCO2排出量削減につなげた。
岡村氏は「東京都の一般的な建物上位25%と比較しても、約3分の1の排出量を達成できた。都市の環境負荷低減を先導する施設となったといえる」と自信をみせる。
さらなる環境負荷低減で2050年のゼロエミッション達成へ
東京都では現在の省エネ数値だけでなく、2050年にCO2排出を実質ゼロにする“ゼロエミッション”を目指し、運用面でさらなる環境負荷の低減に取り組んでいる。次期大規模改修工事は2050年ごろの竣工を想定しており、省エネ技術や再生可能エネルギーの設備を導入するための議論も始めている。
首都東京の中枢を担う建物のライフサイクル全体を通して、ファシリティマネジメントの先駆的事例となるべく、これからも意欲的な実践が試みられる予定だ。
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