「低廉空き家」の仲介料引き上げで、不動産会社の8割超が取引前向き:空き家問題
アットホームは、全国の不動産会社と全国の自治体を対象に、空き家取引の実態を調査した。2024年7月施行の800万以下の低廉空き家特例で、仲介手数料の上限をが最大30万円の1.1倍まで引き上げられたことを受け、不動産会社の8割以上が低廉な空き家の取引に前向きと回答している。
アットホームは2026年1月26日、加盟する全国の不動産会社と全国の自治体を対象にした空き家取引などに関する実態/意識調査の結果を発表した。
法令改正で8割以上の不動産会社が「低廉な空き家」の取引に前向き
調査結果によると、不動産会社で「空き家取引に関わったことがある」と答えた割合は68.7%だった。また、空き家所有者からの相談件数が前年より「増えた」とする回答は32.9%だった。
空き家相談から媒介契約に至った割合では、「1割」が24.4%と最多で、次いで「3割」が17.1%。全体で3割以下が61.6%と過半数となり、空き家の流通活性化に課題があることが分かった。
2024年7月には、「空き家等に係る媒介報酬規制の見直し(低廉な空家等の媒介の特例)」が施行された。低廉な空き家(物件価格が800万円以下の宅地建物)を取引した際に不動産事業者が受領できる仲介手数料の上限を、最大30万円の1.1倍まで引き上げることが可能になった。
法令改正を受け、800万円以下の空き家への取引状況について聞いたところ、「法改正以前から積極的に取り組んでいた」と答えた不動産会社は42.0%となった。「法改正を受けてから積極的に取り組むようになった」の15.9%と、「今後、積極的に取り組む予定がある」の28.0%を合わせると、全体で85.9%に達した。
自治体調査では、相談件数が増加傾向
自治体への調査では、空き家所有者からの相談件数が増加したとする回答が47.8%を占めた。相談内容では、「売却の相談」が69.5%で最も多く、「解体/除去の相談」、「管理の相談」と続いた。要因としては、メディアによる空き家問題の報道、相続登記義務化/空き家特措法改正など法改正の影響が大きいといった声が挙がった。
空き家所有者が空き家を手放さない理由は、「解体やリフォーム、残置物の撤去などの費用を要する」が43.4%。次に「権利関係で問題がある」の30.1%、「将来自分や親族が使う可能性がある」の28.3%と続いた。
空き家の利用希望ニーズについては、売買(購入)が77.0%、賃貸(賃借)が23.0%。購入理由は「自然豊かな環境での生活を目的とした購入」が一番多く、「Iターン」「同一市区町村内での住み替え」の順。賃貸の理由では初期費用を抑えられる点が最も多く、購入前に賃貸で生活を試したいといった回答もあった。
アットホーム加盟店向け「空き家取引などに関する実態/意識調査」
調査期間:2025年9月18〜25日
調査方法:メール配信によるWebアンケート
調査対象:アットホームに加盟する全国の不動産会社
調査人数:870サンプル
調査主体:アットホーム
自治体向け「空き家対策業務に関する実態/意識調査」
調査期間:2025年8月26日〜9月10日
調査方法:メール配信によるWebアンケート
調査対象:調査対象:全国の地方自治体(1591自治体)※アットホーム空き家バンク参画自治体869、未参画自治体722の空き家バンク担当部課を対象に実施
調査人数:272サンプル
調査主体:アットホーム
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