8800人が訪れた建機のテーマパーク 「ミライ建機ランド」で体感する建設現場の未来:i-Construction 2.0(1/3 ページ)
建設分野の最新技術を一般ユーザーにも体感してもらう西尾レントオール主催のイベント「ミライ建機ランド」が、2025年11月に2年ぶりに開催された。会場では、建機の堅苦しい空気感を覆す熱気に包まれていた。子ども連れの家族から技術者、学生まで、3日間で8800人以上が訪れ、360度回転するバケットや建機の遠隔操作、建設向け3Dプリンタなど、未来の建設現場をつくる技術を直接目の当たりにする機会となった。
西尾レントオールは2025年11月28〜30日、「新しい建機展2025−ミライ建機ランド−」を大阪府大阪市の森之宮車両工場跡地で開催した。来場者は3日間で8840人に達し、会場は盛況となった。本稿では、西尾レントオールのイベント担当者へのインタビューを軸に、展示された最先端技術と、それらが示す建設現場の未来像を探る。
ミライ建機ランドが2021年に始まった当時は、建設業界のみをターゲットにしたイベントだったそうだ。ところが、第3回目の2023年に、初めて土曜日に開催したところ、ファミリー層が大勢来場した。そこで今回、2年ぶりの開催に際しては、建設業の未来を担う若い方や子どもたちに建設業の魅力を知ってもらい、体験できるテーマパークのような展示とする方針に切り替えた。
イベント担当者は「現在の建設業界ではITやDXが進み、昔に比べて作業者の負担が減り、安全性も格段に向上している。そうした進化を来場者に体験してもらいたかった」と企画意図を明かす。
会場に足を踏み入れると、ショベルカーが人の動きに合わせて動き、巨大な3Dプリンタは構造物を造り出す。まさに未来の建設現場を子どもたちが体感できる場所がそこにはあった。
建設現場の多機能化を実現する技術「チルトローテーター」
今回のイベントで最も注目を集めたのは、建機の先端アタッチメント「チルトローテーター」だ。油圧ショベルのバケットを自在に傾斜(チルト)させて、360度回転(ローテート)できる。
従来の建機は、バケットの向きを変えるために車体全体を移動させる必要があった。チルトローテーターを装着することで、オペレーターは狭い場所でも効率的に作業が可能になる。斜面での掘削や側溝の掃除、複雑な形状の整地作業などが飛躍的に容易になる。車体の動きを最小限に抑えられるため、燃費の改善や作業時間の短縮にも直結する。
チルトローテーターは、熟練オペレーターの技能をさらに引き出し、多機能化によって現場の省人化にも大きく貢献するツールでもある。人手不足が深刻化する建設現場で、熟練技能を補完する存在として一気に重要性が増していると感じられた。
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