600m先の人やモノを検知できる長距離LiDARを開発、インフラ分野の安全対策を効率化:第9回鉄道技術展2025(1/2 ページ)
三菱電機は物体検出AIを内蔵した鉄道向け長距離LiDARを開発した。600メートル先の人や障害物を検知可能で、鉄道をはじめとするインフラ分野の安全対策効率化を支援する。
三菱電機は「第9回鉄道技術展2025」(会期:2025年11月26〜29日、幕張メッセ)に、物体検出AIを内蔵した鉄道向け長距離LiDARのデモンストレーション機を出展した。レーザー光の水平/垂直方向の視野角を小さくして点群密度を高めることで、600メートル先の人や障害物を検知可能とした。
鉄道の自動運転化や沿線の安全確認などに貢献する新技術として、2027年度の製品化を目指す。鉄道会社の他、高速道路の障害物検知など多用途で提案を図る。
最大制動距離まで物体を検知、識別も可能に
担当者によると「今回のLiDARは、鉄道車両がブレーキをかけてから完全に停止するまでの最大距離(最大制動距離)に相当する600メートル先まで物体を検知できる。さらに物体検出AIを搭載し、点群データだけでは特定が難しい車や車両、自転車などの障害物が識別可能だ」と特長を話す。
長距離LiDARには、反射鏡を高精度に制御することでレーザー光を任意の方向に精密に照射できる「ガルバノスキャナー」を採用。視野角を小さく設定することでレーザー光の間隔を狭め、点群密度を高めた。サイズは300(幅)×150(高さ)×160(奥行き)ミリで重さは7キロ。レーザー波長は1550ナノメートル、レーザーパルス周期50キロHz、レーザークラス1Mに準拠している。
検証施設での実証の結果、600メートル先の人と50メートル先のペットボトルを検知した。「トラックなど大きな物体であれば900メートル先でも検知できる」(担当者)として、物流施設での大型車両監視用途などでも活用が見込めるという。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.


