隅田川橋梁で国技館の四神を光で表現 パナソニックの光環境シミュレーションとVRを活用:照明設計(3/3 ページ)
JR総武線橋梁のライトアップに、パナソニックの演出照明が72台採用された。照明設計やJRとの打ち合わせには、パナソニックの建築照明設計用ソフトウェア「Lightning Flow」、パナソニック東京汐留ビルにある複数人が同時にVR体験できる施設「サイバードーム」を活用した。
パナソニック独自開発のシミュレーションソフトを活用
光の色や移り変わりのスピード感などについては、JR東日本側とシミュレーションによる確認と調整が行われた。使われたのは、パナソニックが独自に開発した照明設計用シミュレーションソフトウェアのLightning Flowだ。
開発責任者のパナソニックエレクトリックワークス社 エンジニアリングセンター 戦略企画部 高島深志氏は、「世界最速の光環境のシミュレーションを目指した建築照明設計のビジュアライゼーションソフトウェアだ。まだ見ぬ空間で、どのような照明効果がもたらされるのかを事前に検討できる」と解説する。
昨今は、建築設計の分野でBIMをはじめとする3Dデータ活用が一般化している。Lightning Flowでは3Dデータの中に光源を置き、照明設置後のイメージを関係者とすり合わせながら、早期の合意形成が可能になる。
Lightning Flowは、光のシミュレーションを高速で行える。ハードウェアの性能にもよるが、3Dのシミュレーション処理には長い時間がかかる。照明に限らず、内装デザインを変更した結果をシミュレーションで確認するまでのサイクルが長くなれば、コスト増につながり、デザイナーのアイデア創出を失う要因にもなるだろう。
高島氏は、Lightning Flowの処理能力を「一般的なソフトウェアが45秒かかる計算が1秒で終わる」と説明する。圧倒的な処理スピードによって、デザイナーはより多くの光環境を試行錯誤できる。
高速処理の理由はゲームエンジンを使っているためだが、Lightning Flowは処理速度とシミュレーションの精度も両立している。また、高性能PCではなく、一般的なビジネス用PCでも使える利点もある。
他にも、BIMソフトウェア「Autodesk Revit」や「Archicad」、FBXやIFC形式、パナソニックの照明設計用ソフトウェア「ルミナスプランナー」などとも連携する。そのため、作成したBIMデータにルミナスプランナーで照明器具を一括配置し、Lightning Flowでイメージを確認して調整するなど、データ連携がシームレスに可能だ。
今回の橋梁照明では、Lightning Flowの機能のうち「カラー演出」の機能を活用したが、他にも多くの機能を搭載している。太陽光が建物内にどのように入るかを緯度経度の指定で確認したり、コンサートやライブなどの演出に使う、動きのあるムービングライトのシミュレーションにも対応したりしている。
Lightning Flowは2021年からWebサイトで無償公開している。現時点で1200社以上が照明設計などに使っているという。
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