ビルメンメンテナンスサービスからみたBIMの可能性【BIM×FM第9回】:BIM×FMで本格化する建設生産プロセス変革(9)(2/2 ページ)
本連載では、FMとデジタル情報に軸足を置き、建物/施設の運営や維持管理分野でのデジタル情報の活用について、JFMAの「BIM・FM研究部会」に所属する部会員が交代で執筆していく。本稿では、日本空調サービス FM管理部 FM事業企画チーム所属の白川愛幸氏がビルメンテナンスサービスの見地から、BIMを動的情報のハブと位置付けた際の可能性を解説する。
BIMは日々変化する動的情報のプラットフォーム
顧客の「何にもできなさそう」という感想は、BIMを単体のツールとして捉えた場合の限界を的確に指摘していた。しかし、同時にそれは、BIMを起点に、さまざまなデジタル技術を連携させることで、無限の可能性が広がることも示唆している。
BIMは、広大な維持管理というパズルのピースの一つにすぎない。このピースを最大限に生かすには、他のシステムとのシームレスな連携が不可欠だ。BIMは、いわば「デジタルツイン」の骨格を形成する重要な要素であり、そこに多様なデータを紐(ひも)づけることで、建物ライフサイクルにおける情報プラットフォームへと進化する。
BIMと連携する技術としては、IWMS、CMMS、IoTセンサーなどがある。
それぞれに解説を加えると、IWMS(Integrated Workplace Management System)は、ワークプレースの利用状況や資産管理を統合的に行うシステム。オフィスのレイアウト変更や什器の管理にBIMを活用することで、より効果的な働き方をサポートできる。さらに、設備管理台帳機能と連携させることで、BIMの情報を資産情報として活用し、施設のライフサイクル全体を一元的に管理することが可能になる。
CMMSは、維持管理業務の計画、実行、記録を管理するシステム。BIMと連携することで、修理依頼や点検スケジュールがBIMモデル上の機器に直接紐づき、作業の可視化と効率化が図れる。
IoTセンサーは、設備の稼働状況や温度、湿度などをリアルタイムで収集するセンサー。BIMモデルにこれらのデータを統合することで、設備の異常を即座に検知し、予知保全へとつながる。
ビルメンテナンスサービスの事業者は、施設の維持管理・運用段階における動的情報の大半を得ることができることを踏まえ、BIMを単なる設計・施工のツールとしてではなく、建物のライフサイクル全体を支える「情報ハブ」として捉え、さまざまなデータやシステムを連携/統合し、ファシリティマネジメントの課題解決に貢献していくことが、これからのビルメンテナンスサービスの未来を築く鍵となるだろう。
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