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関係者が同時に“体験しながら設計を決める”、没入型設計レビュー空間「TELEPORT 1/1」を日本初展開VR(1/2 ページ)

ダッソー・システムズは、複数人が実寸大のVR空間で同時に設計レビューや意思決定を行える「TELEPORT 1/1」を東京都品川区の大崎オフィスに開設した。VRヘッドセットを装着した関係者が同一空間を歩き回り、建築物や工場レイアウトを実寸大で確認しながら設計検討し、早期の合意形成が実現する。

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 ダッソー・システムズは2025年10月3日、複数人が実寸大のバーチャル空間に同時に参加し、設計やデザインの確認、意思決定をその場で行えるコンサルティングサービス「TELEPORT 1/1(テレポート)」の専用空間を、東京都品川区の大崎オフィスに開設した。仏ヴェリジー=ヴィラクブレーにある本社、パリの「建築・文化遺産博物館」に続く世界3拠点目で、仏国外では初となる。


大崎オフィスに開設した「TELEPORT 1/1(テレポート)」専用空間。VRヘッドセットを装着して実寸大のVR空間に入れる 筆者撮影
ALTALT VR空間では設計/デザインを俯瞰や実寸大で確認できる 提供:ダッソー・システムズ

ダッソー・システムズ 代表取締役社長 フィリップ・ゴドブ氏 筆者撮影

 TELEPORT 1/1は、複数の関係者がオフィス内に設置された物理空間に集まり、VRヘッドセットを装着して実寸大のVR空間に入る。同時に同じ空間を歩き回りながら対話し、設計やデザインの検討を行える。

 ダッソー・システムズがこれまで培ってきたバーチャルツイン技術を活用することで、実際の建物や工場を建設する前に、設計段階で仮想空間でのリアルな運用シミュレーションも可能になる。

 ダッソー・システムズ 代表取締役社長 フィリップ・ゴドブ氏は「TELEPORT 1/1は、産業界における意思決定のプロセスを刷新する新しいコンサルティングサービス。参加者全員が同じ空間で体感しながら議論できるため、理解のズレや認識の違いを早期に解消し、設計レビューやレイアウト検証、合意形成を効率化できる」と強調した。

ALTALTALT 大崎オフィスの「TELEPORT 1/1」専用空間。同時に同じ空間を歩き回りながら検討や議論を行える 提供:ダッソー・システムズ

 TELEPORT 1/1では、顧客へのヒアリングを通じた目標設定、データ準備、ワークショップ開催の3ステップをパッケージ化し、課題発見から合意形成までを一貫して支援する。体験用のデータは、顧客から提供された点群データや動画/写真、CADデータなどをもとに、ダッソー・システムズがVR空間で表示できる形式に整える。利用のための事前トレーニングなどは不要で、参加者は実際に歩き回って気になる場所を確認できる他、手を使って空間内を撮影したり、パーツを動かしたりできる。

 対象領域は人よりも大きい製品や構造物で、建築/建設、工場向けに展開。主なターゲットセクターとして自動車、産業機械を掲げる。

 大崎オフィスに新設されたTELEPORT1/1ルームは、建物20階にあるサーバルームと21階の体験空間を高速ネットワークで接続。11台の高性能マシンのうち、1台をサーバ用、10台をクライアント(ヘッドセット)用に割り当て、サーバールームで処理したグラフィックデータをWi-Fi経由でリアルタイムに配信する。1回のセッションでは最大10人までが同時体験できるが、衝突防止などの安全面を考慮し、推奨は8人。

 従来の2D図面や3Dモデルでは、理解度が参加者のスキルに左右され、意思決定に齟齬が生じやすかった。TELEPORT 1/1は複数人が同時にVR空間に入り、視覚的に同じ空間を共有しながら議論できるため、専門知識を持たない経営層や現場担当者を巻き込んで迅速な合意形成が可能となり、手戻りのリスクや追加コスト回避にもつながる。

ALTALT 大阪・関西万博 フランス館のデジタルツイン空間 提供:ダッソー・システムズ

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