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「建設と通信の現場に、女性の力を」奥村組とNTTフィールドテクノが女性活躍推進で意見交換産業動向(3/4 ページ)

女性技術者が現場で輝く時代へ――。通信と建設という異なる業界で共通する課題に向き合いながら、それぞれの現場改善に取り組んできたNTTフィールドテクノと奥村組。両社はこれまでの成果報告と意見を交わす場を設けた。社内制度の整備にとどまらず、風土づくりや現場改革に力を注ぐ姿は、建設業界にとって女性活躍の現場をどう作るか示唆に富む内容となった。

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奥村組の「建設が、好きだ。」を支える環境づくり

 1907年創業の奥村組は、道路、鉄道、ダムなどのインフラ整備から、オフィス、庁舎、教育施設といった建築物の施工までを手掛け、全国や海外にも拠点を持つ。

 建設業界は長らく男性中心とされてきたが、1999年から女性の総合職採用を開始。現在では社員のうち11%が女性で、採用比率は約2割、管理職比率も4.5%と徐々に増えている。

奥村組では女性活躍が進んでいる
奥村組では女性活躍が進んでいる 提供:奥村組

 「女性技術者が“ずっとこの会社で働きたい”と思えるように」。その想いから、奥村組では多方面から環境整備を進めている。制度面では、育児/介護との両立支援ハンドブックの配布、フレックスや在宅勤務など柔軟な勤務制度の導入、2024年からはベビーシッター費用の補助も始まった。

 現場設備も刷新が進む。女性専用トイレや更衣室の設置をはじめ、休憩所の配置、空調、照明にまで配慮。女性社員による現場パトロールでの気付きが随時フィードバックされて、安全衛生面の改善が繰り返されている。

奥村組 ダイバーシティー推進部 企画調査課 山本颯輝氏
奥村組 ダイバーシティー推進部 企画調査課 山本颯輝氏  筆者撮影

 現場への浸透について、奥村組 ダイバーシティー推進部 企画調査課 山本颯輝氏は、「研修やダイアログだけでなく、現場パトロールやフィードバックを通じて、双方向で理解と改善を積み重ねている。いかに制度を整えるかではなく、どう運用していくかが肝。現場に合った柔軟な対応を常に模索している」と話し、現場との距離感の近さが奥村組の強みだと印象付けた。

 社内では、「産休/育休から復帰して、現場に戻る女性技術者を増やしたい」という要望も挙がっている。そのためには、上司や管理職の理解が不可欠であり、管理職向け研修や女性社員との対話機会の充実を進めている。社長自らが定期的に意見交換会を実施するスタイルは、組織風土に変化をもたらしている。

奥村組は誰もが生き生きと働ける現場づくりを推進してきた
奥村組は誰もが生き生きと働ける現場づくりを推進してきた 提供:奥村組

 このような取り組みが評価され、女性の活躍推進で優良企業と厚生労働省が認定する「えるぼし」の最高位となる3段階目(3つ星)を取得した。他にも、女性が活躍できる建設業を目指した日本建設業連合会の「けんせつ小町」活動にも参画するなど、男女問わず働きやすい職場づくりに向けた発信を続けている。

建設業で働く全ての女性の愛称「けんせつ小町」
建設業で働く全ての女性の愛称「けんせつ小町」 提供:奥村組

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