東京駅直結の新「八重洲ダイビル」完成 旧ビルの意匠と緑を継承、環境性能認証も取得:プロジェクト
ダイビルが東京都中央区で建て替えを進めていた「八重洲ダイビル」が完成した。東京駅八重洲地下街直結の立地に、旧ビルの意匠と緑を継承しつつ、環境/ウェルネス性能認証で最高評価を取得した。
ダイビルは2025年6月30日、東京都中央区で建て替えを進めていた「八重洲ダイビル」が竣工したと発表した。東京駅八重洲口の「八重洲地下街」と地下で直結する利便性の高い立地で、環境性能認証やウェルネスオフィス認証の最高評価を取得している。
新たな八重洲ダイビルは、2021年に閉館した旧八重洲ダイビルを建て替えたもの。JR「東京」駅と東京メトロ銀座線「京橋」駅徒歩4分、東京メトロ銀座線/東西線「日本橋」駅徒歩5分の立地で、八重洲地下街との直結により天候に左右されず東京駅や近隣施設にアクセスできる。
規模は地上11階、地下3階建て、高さは約56メートル。延べ床面積は約2万2655.19平方メートル(約6853坪)。設計/監理は日建設計、施工は鹿島建設が担当した。オフィス(3〜11階)の他、店舗区画(1〜2階)、貸会議室(地下1階)を備える。基準階のオフィスフロアは1フロア当たり約390坪の無柱空間で、柔軟なレイアウトが可能だ。
BELS認証やCASBEE-WO認証で最高評価
環境面では、太陽光発電設備や高効率熱源と大温度差送水システム、外気冷房、Low-e複層ガラスなどを導入。画像センサーによる照明/空調制御やエネルギー情報提供システムを活用し、テナントの省エネルギーを支援する。
ウェルネス向上の観点では、テナント入居者のスマートフォンから空調や照明の操作を可能とする他、共用設備の一部に色温度と照度を自然光に近づけた「エコサーカディアン照明」を導入するなど、健康性と快適性にも配慮した。
これらの取り組みにより、「ZEB Ready」認証の他、建築物省エネルギー性能表示制度(BELS)認証でオフィス部分では最高位の星6つを取得。また、米建物環境認証システムLEED認証で「GOLD」取得を予定している。加えて、住宅・建築SDGs推進センターによる「CASBEE-WO(ウェルネスオフィス)」でも最高位の「Sランク」を取得した。
耐震性能については中間層免震構造を採用し、建築基準法上求められる検証に加えて、告示模擬地震動の1.5倍の巨大地震動や内陸直下型地震に対しても安全性を検証。日本建築構造技術者協会(JSCA)の「免震上級」に相当するレベルを確保した。また、非常用発電機7日間運転、10日間の水供給に対応し、備蓄倉庫も整備した。電気室の最上階設置、防潮板による浸水対策などさまざまな災害対策も導入している。
建て替えに当たっては「継承と革新」をテーマとした。旧八重洲ダイビルは建築家 村野藤吾氏による設計で、石張りの力強い柱と繊細な梁(はり)を備えた外観や、竣工翌年の1967年に設けられた屋上樹苑などにより地域に親しまれてきた。新ビルには外装材に旧ビルと同じ濃色の花崗岩を使用し、垂直性を強調した柱型やアーチによる品格あるファサードを再構成。さらに、屋上樹苑で採取した種子から育てた木を植栽に活用している。
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