三菱電機の給湯機事業を支える群馬工場 エコキュート累計約260万台の生産ラインを見学:製品動向(3/4 ページ)
三菱電機の給湯機事業を担う群馬工場では、エコキュートや電気温水器を中心とした給湯システムを製造している。2025年4月時点で累計生産台数は約700万台、エコキュートだけでも約260万台を達成する見込みだ。その製造ラインを間近に見れる視察会で、給湯機事業の歴史を振り返るとともに、実感型ショールーム「ユクリエ」で普及が進むエコキュートの最新機能を体感した。
人力とIT化の両面から作業効率化を推進
エコキュート製造の基本的な流れは、プラスチック部品の成形や金属部品の加工後、筐体に合わせて組み立てる。そのため、生産ラインの視察でまず訪れたのは、プラスチック成型工場。水とお湯を混ぜる役割を果たす混合弁、入水出湯切換え弁といったエコキュートの内部に使用されている部品を説明しながら、組み立てる過程をガラス窓越しに見学した。細かい部品に髪の毛1本でもまぎれないように、従業員は全員白い帽子をかぶって作業している。
次に訪れたタンクの溶接組み立て工場では、タンクの丸型になっている部分の上下部分と胴体部分を溶接する。500トンのプレス機で金属を丸型に成型し、スポット溶接機でタンク型にする過程を確認した。
その後は水圧検査、横組み作業、組み立て/外観検査とラインは続く。工場内は、個々の作業ごとにロボットによる自動溶接やネジ締めの手順をディスプレイ表示するシステムを導入しており、効率化とミスを防いでいる。ラインの自動化を進めているものの、熱交換器や配管加工などで複雑な工程を伴うため、現時点で完全なオートメーション化は難しいそうだ。
一方で、タンクを横向きにしたまま組み立てる「横組リーク検査」のエリアなど、人力が外せない部分でも効率化に取り組んでいる。外観検査の際、上部の見えない部分は天井に鏡を設置して対応するなど、高品質な製造をスピーディーに行える工夫を随所に施している。
群馬工場では製造工程の効率化だけではなく、建物の省エネにも力を入れており、建屋6棟の屋上に計約3000枚の太陽光パネルを設置。発電による使用電力削減効果は年間740万kWh(キロワットアワー)となり、一般家庭の約2万4000世帯分に相当する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.