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日米8200kmを遠隔操作 Skydio新型ドローンで次世代インフラ点検を提案、NTT ComJapan Drone 2024(2/3 ページ)

NTTコミュニケーションズはJapan Drone 2024で、ドローンを活用したインフラメンテナンスの新たな課題解決方法を示唆した。日本と米国約8200キロをつなぐセルラードローン「Skydio X10」のデモは、上空LTEによる遠隔操作と自律飛行ドローンの組み合わせだ。自律飛行ドローンとドローンポート、Wi-Fi機器を組み合わせた自動巡回は、これまで難しかったアナログ計器の点検を省人化する。

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4つの特徴でインフラ点検業務を新たなステージに

 Skydio X10は、従来のSkydio製ドローンに備わる非GPS環境下での安定飛行や360度障害物回避の機能だけでなく、新たに4つの特徴がある。

 その1つがセルラードローンで、様々な接続方法に対応できる「Skydio Connect」が搭載されており、ポイントツーポイント方式の無線接続、マルチバンド接続に加えて、Skydioの機体では初めて上空LTEにも対応した。5G/LTE経由で機体を操縦したり、データ伝送をしたりすることで、操縦者から見えない遠隔地でも容易にコントロールできる。

 ブース担当者は、「モバイルネットワークと自律飛行機能や障害物回避技術を備えたドローンは相性がいい。モバイルネットワークを使うことで、場所や距離に左右されずに巡視や点検に使える。自律飛行と優れた障害物回避技術があれば、機体を目視できない遠距離でも安全に運用できる」と話す。

 当日ブースでは、幕張メッセから約8200キロ離れた米カリフォルニア州サンマテオにあるSkydio本社の屋上に置いたSkydio X10を操縦するデモを行いった。簡易なコマンド入力で機体の離着陸やカメラのズーム操作などが遅延なく行われ、見学者からは驚きの声が上がっていた。

幕張メッセから約8200キロ離れたサンマテオの空を飛行するSkydio X10は、距離を感じさせないスムーズな動きを見せていた
幕張メッセから約8200キロ離れたサンマテオの空を飛行するSkydio X10は、距離を感じさせないスムーズな動きを見せていた

 カメラも、用途に応じて選択できる2種類の高解像度カメラを用意している。両モデルとも6400万画素相当の挟角カメラとサーマルカメラを基本とし、追加のカメラ(広角/望遠)を備え、多様なニーズに対応する。

 「VT300-L」は広角カメラを追加したモデル。広範囲を効率的にカバーしながら、高精細な画像を取得できるため、橋梁や建築物などのインフラストラクチャーに生じたひび割れやサビの状況を詳細に確認する必要がある現場での使用が想定されている。

広角重視のVT300-Lモデル。前面の左側がサーマルカメラとフラッシュライト、右上が狭角カメラ、右下が望遠カメラ
広角重視のVT300-Lモデル。前面の左側がサーマルカメラとフラッシュライト、右上が狭角カメラ、右下が望遠カメラ

 「VT300-Z」は望遠カメラモデルで、遠距離からの観察や詳細な調査が必要な場面に有効だ。広域エリアの警備や高所など人が直接アクセスすることが困難または危険な場所での点検を安全を確保しつつ効率的に完了できる。

 両モデルに搭載されているサーマルカメラは、災害時の人物探索や設備の発熱異常を検出する際にも力を発揮する。

サーマルカメラの画像
サーマルカメラの画像

 暗所での対応は、オプションのNightSenseアタッチメントを装着することで、光の乏しい環境でも障害物を回避しながら自在に飛行する。スポットライトを取り付ければ、暗い場所でも鮮明な映像を撮影可能だ。そのため、夜間の警備や照明の少ない屋内施設の点検など、これまで人の目に頼らざるを得なかった作業を人に代わってドローンが担える。

 屋外での運用に関しては、優れた防塵(じん)/防水性能も備えている。小型ドローンではトップレベルのIP55に対応し、高いレベルの防塵/防水性能は、屋内外やホコリ多い現場など点検場所を選ばない。

 米Skydioは2024年9月25日、Skydio X10の機能を拡張する画期的な新製品を発表した。Skydio X10専用ドローンポート「Dock for X10」だ。これによりSkydio X10を遠隔地に常設し、場所を問わず必要時に飛行できる。2025年夏以降から日本を含む全世界に向けて順次提供していく計画だ。

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