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建設業の8月倒産は“27カ月ぶり”前年同月下回る 全産業も連続記録に歯止め調査レポート(1/2 ページ)

東京商工リサーチが公表した8月の企業倒産件数で、建設業は2024年最少の件数となる121件だった。前年同月の157件と比べると22.92%減となり、27カ月ぶりに下回った。

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 東京商工リサーチ(TSR)は2024年9月9日、全国企業倒産状況の月次報告で8月の企業倒産件数(負債額1000万円以上)を発表した。倒産件数は4カ月ぶりに700件台に戻り、2024年中で3番目の少なさの723件(前年同月比4.8%減)だった。2022年4月から前年同月を上回っていた倒産件数の連続記録は、歴代3番目の長さの28カ月間でストップしたことになる。

 負債総額は1013億7000万円(同6.4%減)で、2カ月ぶりに前年同月を下回った。8月としては3年連続で1000億円を超え、負債1億円未満が550件で8割近く(構成比76.0%)を占めた。倒産は依然として、小企業や零細企業を中心に推移している。

8月の企業倒産件数(負債額1000万円以上)
8月の企業倒産件数(負債額1000万円以上) 出典:東京商工リサーチプレスリリース
企業倒産件数の推移(負債額1000万円以上)
企業倒産件数の推移(負債額1000万円以上) 出典:東京商工リサーチプレスリリース

建設業は2024年で最少の件数 5カ月ぶりに前年同月減

 産業別では10産業のうち、5産業で前年同月より増加。最多は「サービス業他」の242件(同1.6%増)で、24カ月連続で前年同月を超過した。他に「卸売業」106件(前年同月比27.7%増)は11カ月連続、「情報通信業」41件(同13.8%増)は5カ月連続、「農、林、漁、鉱業」12件(同33.3%増)と「小売業」79件(同3.9%増)は2カ月連続で、それぞれ前年同月より増えた。

 一方、「建設業」121件(同22.9%減)は27カ月ぶり、「製造業」79件(同11.2%減)は5カ月ぶり、「不動産業」18件(同45.4%減)と「運輸業」25件(同32.4%減)が2カ月ぶり、「金融/保険業」ゼロ(同100.0%減)が3カ月連続で、それぞれ前年同月よりも減った。不動産業を除く、建設業と製造業、金融/保険業、運輸業の4産業は、2024年最少の件数となった。

2024年8月の産業別倒産状況
2024年8月の産業別倒産状況 出典:東京商工リサーチプレスリリース
主要産業の倒産件数推移
主要産業の倒産件数推移 出典:東京商工リサーチプレスリリース

 倒産件数の地区別では9地区のうち、6地区で前年同月を下回った。最多は「関東」の288件(前年同月比1.3%減)で、28カ月ぶりに前年同月よりも減少。「近畿」172件(同9.9%減)は21カ月ぶり、「中国」28件(同39.1%減)は16カ月ぶり、「九州」53件(同15.8%減)は10カ月ぶり、「北海道」20件(同20.0%減)は5カ月ぶり、「北陸」11件(同38.8%減)は4カ月ぶりに、それぞれ前年同月を下回る形となった。

 「東北」43件(同22.8%増)と「中部」91件(同18.1%増)、「四国」17件(同30.7%増)は、2カ月連続で前年同月よりも増加した。

2024年8月の都道府県別倒産件数と負債総額
2024年8月の都道府県別倒産件数と負債総額 出典:東京商工リサーチプレスリリース

 TSRは、「8月の企業倒産は723件にとどまったが、物価高や最低賃金を含む人件費上昇など、コストアップ圧力は強まっている。さらに金融機関の貸し出し金利引き上げも現実味を帯び始めている。秋口以降は、企業の資金需要は活発になる時期を迎える。そのため、過剰債務などコロナ禍の負荷を抱えた企業を中心に、企業倒産は増減を繰り返しながら増勢をたどるとみられる」と予測している。

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