「5件に1件が老いたマンション。建て替え費は6割超が1500万以下」旭化成不レジが調査:産業動向(1/2 ページ)
旭化成不動産レジデンスは、マンション建て替えの実態に関する調査結果を発表した。レポートによると検討開始から建て替え決定までの期間は半数以上が5年以下で、費用は60%以上が1500万円以下と判明し、マンション建替えは難しいイメージを覆す結果となった。
旭化成不動産レジデンスの「マンション建て替え研究所」は2024年8月22日、高経年マンション問題の実態やマンション管理の未来など、マンション建て替えの実態に関する調査結果を発表した。
築40年以上のマンションが増加、2割弱が“老いた”マンション
国土交通省の「分譲マンションストック数の推移」と「築40年以上の分譲マンション数の推移」を参照すると、日本全国のマンションストック数は年々増加傾向にあり、約694万3000戸のうち、2割弱の125万7000戸が築40年以上で、既に約5件に1件が“老いた”マンションとなっている。
国や自治体は高経年マンションの増加を制度改正や支援策によって食い止めようとしているものの、20年後には445.0万戸にまで上ると予測されている。増え続ける高経年マンションは、修繕不足や管理不全に陥りがちで、耐震性能の不足は地域全体の安全を脅かしている。こうした問題は高経年マンションの所有者だけでなく、将来引き継ぐ子世代にも関係している。管理不全に陥り、資産価値が下がったマンションは、負の遺産として引き継がれることになる。そのため、高経年マンションの増加は、所有者の積極的な対策が必要な大きな社会問題ともいえる。
マンション建て替え研究所によると、マンションの高経年化に伴い、マンション自体の老朽化と所有者の高齢化の「2つの老い」が進行するという。修繕費用の不足や管理不足の「建物の老い」、所有者や住民の高齢化の「人の老い」。「建設業の2024年問題」による工事の長期化がもたらす工事費上昇が物価高騰に重なり、追い打ちをかけている。こうした社会情勢が、高経年マンションの建て替えや改修のハードルをさらに高くし、負のスパイラルがさらに悪化している状況にあると指摘する。
高経年マンションの「負のスパイラル」から抜けだすための選択肢の一つとして、「マンションの建て替え」がある。しかし、「マンション建て替えに必要な費用や期間」「建て替え中の仮住まい」など、建て替えという大きな決断を下す際にはさまざまなハードルが生じる。こうした疑問に対し、旭化成不動産レジデンス マンション建て替え研究所は実態を調査した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.