伊吹山と白糸の民間有料道路の取り組みから、道路マネジメントの未来を考える【JFMA座談会】:ファシリティマネジメント フォーラム2024(3/4 ページ)
深刻化する老朽化や資金不足、担い手不足。課題を抱える日本のインフラは、この後どのようにメンテナンスを進めればよいのだろうか。民間有料道路事業者の取り組みに、課題解決の可能性を探る座談会をレポートする。
伊吹山ドライブウェイと白糸ハイランドウェイのアセット活用例
水野氏の提言に続いて、増田氏が「伊吹山ドライブウェイ」、幸野氏が「白糸ハイランドウェイ」の取り組みをそれぞれ紹介した。
伊吹山ドライブウェイは、岐阜県の料金所から滋賀県の伊吹山山頂駐車場までの、延長17キロの民間有料道路。1964年に開通し、2025年に60周年を迎える。伊吹山は積雪量が多く、12月から4月半ばまで閉鎖される。
道路の営業時間は基本8〜20時で、夏季にはオープン時間を早朝3時に早めたり、オールナイトで営業したり、職員手作りの「星空の観望会」などのイベントを催したり、集客に努めている。道路の終点である山頂駐車場には、会社直営の展望ショップ「スカイテラス伊吹山」があり、有料道路事業だけでなく、飲食や物販事業も手掛ける。山頂駐車場からの展望や、標高で変化する植生などの観光資源をアピールすることで、近隣の愛知、岐阜、滋賀、大阪を中心に、近年は関東や九州など、全国から観光客が訪れているという。
白糸ハイランドウェイは、旧軽井沢から浅間山の山裾にある峰の茶屋料金所を結ぶ延長10キロの民間有料道路。ルート上には、小瀬温泉、野鳥の森、白糸の滝があり、峰の茶屋料金所からは、嬬恋や草津温泉といった観光地へアクセスしている。また、白糸ハイランドウェイと並行して走る信濃路自然歩道には、白糸ハイランドウェイ内の路線バス停から、ハイキングを楽しめる。
東京に本社を置き、道路建設工事や舗装工事を手掛けるガイアート子会社の白糸ハイランドウェイが道路運営を事業継承したのは2011年。この時点で既に供用約50周年が経過し、道路の老朽化対策とインフラマネジメントの確立が急務だった。2014年には、ISO 55000の認証を取得して、事業運営に生かして現在に至っている。
白糸ハイランドウェイ社が道路事業を取得した目的は2つ。1つは、道路や道路施設を適切に管理する能力を有することを示し、その向上を図ること。もう1つは、白糸ハイランドウェイを実証フィールドに見立て、新技術の改良と普及に活用する目的だ。今では、アセットを最大限活用して、アセットから生み出される付加価値を享受することを目的に、自社だけでなく、大学や研究機関とも連携しながら、維持管理能力の向上を図る技術開発を進めている。
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