現場製造のマヨネーズ状爆薬でトンネル工事の発破実現 戸田建設が新名神高速に適用:スマートコンストラクション
戸田建設は、新名神高速のトンネル工事で、爆発の危険性がない基材と発泡剤を混合して製造するマヨネーズ状の爆薬「バルクエマルジョン爆薬」を用いた発破に成功した。
戸田建設は、イーピーシージャパン、サンライズの協力を得て、現場で製造するサイトミキシング型バルクエマルジョン爆薬を用いたトンネル工事現場での発破を2024年4月に実現した。戸田建設によると日本のトンネル施工では初の事例となる。
トンネル発破作業の安全性や効率性の向上へ
サイトミキシング型バルクエマルジョン爆薬は、専用の製造/装填(そうてん)機械で、爆発の危険性がない基材と発泡剤を現場を混合して製造するマヨネーズ状の爆薬。
従来の発破作業では、工場で製造された紙巻包装円筒状の含水爆薬を、トンネル掘削の最先端箇所(切羽)で、あらかじめ穿孔した穴に、作業員が手作業で本数単位(200gグラム/本)を調整して装填していた。しかし、切羽の近傍で作業するため、掘削面の岩塊がはがれ落ちてきて被災する危険性があり、爆薬量の調整は1穴あたり4〜6本程度と本数(200グラム/本)で管理するため、細やかな調整ができなかった。さらに爆薬の取り扱いにも注意が必要なことに加え、爆薬と孔壁の間には空隙が生まれ、爆発の威力を岩盤に効率的に伝えられないなどの問題があった。
バルクエマルジョン爆薬は、ホースと長いノズルを用いて、切羽から従来よりも離れた安全な位置から、タッチパネル操作で爆薬量を10グラム単位で調整できる。そのため、発破作業の安全性や効率性の向上が図れる。攪拌するまでは爆薬ではないため、素材自体は爆発の危険性なく扱える。また、紙巻包装の含水爆薬よりも、孔内へ密に装填でき、爆発の威力を効率的に岩盤に伝えられるため、爆薬量を減らせるメリットもある。
海外では20年以上前から導入や改良が進められ、日本でも以前より注目されていた。しかし、日本では火薬類取締法上、爆薬の製造工場と同様の許可が必要となることが現場適用のハードルとなってた。
採用した現場は、戸田建設が施工する新名神高速道路の宇治田原トンネル東工事で、火薬類製造保安責任者の有資格者配置や火薬類取締法上の基準を満たし、トンネル現場で初めて製造許可を取得した。現場では爆薬による発破の実現に至り、良好に岩盤を破砕したという。
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