建設業がBIMで目指すべき“サステナビリティ”への道 世界最古の規格協会BSIが提言:BIMを軸とした建設業の未来像 Vol.1(3/4 ページ)
国内でもBIMの国際規格「ISO 19650」を取得する企業が増え、BIM=情報マネジメントの概念が浸透してきている。ISO規格の策定や認証サポートを国内外で展開するBSI(英国規格協会)は、BIMが作業効率化や建設生産プロセスの全体最適化だけでなく、環境負荷の軽減やエネルギー効率の向上など、サステナビリティ推進の基盤にも成り得ると提案する。
BIMで手戻りを解消することがコスト削減にもつながる
Wasteでは、建材量を正確に把握することで、余剰材料の解消につなげ、施工の手戻りもなくすBIM活用だ。
なぜBIMが無駄削減につながるのかを裏付ける資料として、Autodeskの調査レポートでは、2020年の建設市場は世界のGDPの13.2%にあたる約11.15兆ドルを占めたが、「不具合のあるデータ」により、最大1.84兆ドルの損失を被った可能性を指摘している。さらに、建設での手戻りの16%が不正データに起因し、その負のコストは8869万ドルにも上る。こうした課題は、BIMによる情報マネジメントの実現で、多くの無駄やコストを排除できるとしている(出典:“Harnessing the Data Advantage in Construction”Autodesk)。
4つ目のQualityは、設計変更をプロジェクトチーム全体で確認することで、最終的に仕上りの品質向上に寄与することを示している。正確なBIMモデルであれば、メンテナンスが簡素化し、資産寿命の延長にもつながる。
仁井田氏は、「建物ライフサイクルの最終フェーズでも、その寿命を伸ばすためにBIMでできることがある。BIMデータ主導で、あらかじめ廃棄やリサイクルを念頭に置いた意思決定をしておけば、将来の建物寿命も長くなるはず」と補足する。
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