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災害時に約189万戸の賃貸住宅を無償貸与 競合する大和ハウスと大東建託が災害支援協定を結んだ意義産業動向(2/3 ページ)

大和ハウス工業と大東建託の両グループ企業は、互いに保有している賃貸物件の情報を共有し、災害時に連携して支援にあたる協定を締結した。両社グループが管理する計約189万戸の賃貸住宅を生かし、被災した賃貸住宅のオーナーと入居者に無償で貸し出す他、備蓄品の提供、復旧用資材の配給など、さまざまな角度から支援していく。さらに平時でも、防災に関する講習会を全国各地で随時開催するなど手を携える。

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両社グループの計約189万戸を無償貸与、施工スタッフも復旧工事にあたる

 協業の中身としては具体的には、賃貸物件の空室情報を常時共有し、災害時には迅速に被災地の情報連係も行える体制を構築する。震度6弱以上の地震発生、もしくは警戒レベル5以上の「特別警報」が発令された場合は、両社グループで協議の上、「共同対策本部」を設置。速やかに被災地域の状況調査を行うとともに、物件の空室情報や被災者支援策を共有し、早期の災害復旧に役立てる。

災害発生時には共同対策本部を設置。速やかに現地情報を共有し合い、最適な支援に役立てる
災害発生時には共同対策本部を設置。速やかに現地情報を共有し合い、最適な支援に役立てる 提供:大和ハウス工業、大東建託
大東建託 取締役 常務執行役員 守義浩氏
大東建託 取締役 常務執行役員 守義浩氏

 大東建託 取締役 常務執行役員 守義浩氏は、「災害発生後は、現地で情報が錯綜(さくそう)したり、確認に困難を要したりするケースが想定される。両社グループ間で毎日正しい経過を報告し、情報共有手段の確保は心掛けていきたい」と話す。

 特に賃貸住宅は、国内の全賃貸物件のうち、約13%を占める両社グループが管理する計約189万戸を活用する。被災者へ貸与可能な空室情報を共有するとともに、被災した賃貸住宅のオーナーと入居者に対しては、仮住まいとして無償で住戸を貸与。大和ハウスグループのロイヤルホームセンターとも連携を図り、災害用備蓄品や復旧用資機材を必要に応じて供給する。さらに、大和ハウス工業が全国9カ所の保有工場に設置している移動式貯水タンクを利用し、生活用水の配給も行う。

大和ハウスグループでは断水がなかなか復旧しない状況での支援も想定し、貯水タンクを常備している
大和ハウスグループでは断水がなかなか復旧しない状況での支援も想定し、貯水タンクを常備している 提供:大和ハウス工業、大東建託
大和ハウス工業 取締役 常務執行役員 集合住宅事業本部長 出倉和人氏
大和ハウス工業 取締役 常務執行役員 集合住宅事業本部長 出倉和人氏

 また、両社グループの施工部隊も活用し、被災住宅の修繕などの復旧活動に携わることも想定している。施工スタッフが被災地に赴き、その場で修繕して2次被害を防ぐことも実現できるように、現在は準備を進めている最中だという。

 大和ハウス工業 取締役 常務執行役員 集合住宅事業本部長 出倉和人氏も、「大手不動産企業として業界をけん引している2社で協力し合うからこそ、全国規模で、より広範囲にわたって有事の災害支援ができると自負している」と意気込みをみせる。

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