既存住宅の省エネ性能表示に新制度、「改修等部位ラベル」が2024年秋にスタートへ:第6回「建築物の販売・賃貸時の省エネ性能表示制度に関する検討会」(2/4 ページ)
国交省では膨大なストックが存在する既存建築物においても「省エネ性能表示制度」の適用拡大を目指し、2024年秋から「改修等部位ラベル」という新たな表示スキームの導入を開始する。
新たに登場する「改修等部位ラベル(仮称)」とは?
既存住宅のうち、設計情報に基づく省エネ性能の表示が困難な住宅についても、省エネ性能に関する消費者等への情報提供が行われるよう、新たに「改修等部位ラベル」(仮称)を設けることとした。
新築を対象とした建築物省エネ法告示に基づく「告示ラベル」が、住宅の総合的な省エネ性能(断熱性能、エネルギー消費性能)を示すものであるのに対して、「改修等部位ラベル」は住宅の省エネ性能の向上に資する断熱・設備仕様について部分的な情報を示すことを目的としている。
なお、新たな「改修等部位ラベル」表示の機会を拡大する観点から、これから改修を行うものに限定せず、既に改修が行われたものや新築時から設置されているものも含めて検討を行う予定としている。
新ラベル(既存住宅用)改修等部位の表示対象
住宅のエネルギー消費量のうち、暖房や給湯に占める割合が大きく、開口部からの熱の損失が大きいため、既存住宅用新ラベルの主たる表示項目は「窓」と「給湯器」とすることが、すでに2021年の検討会で整理されている。
その他の表示対象とすべき改修部位については、
- 省エネ性能の向上(外皮性能、BEI)への寄与度が比較的高いもの
- 一般的には入居者自らの改修が困難であり、ロックイン効果があるもの
- 改修の内容が一定程度普及しているもの
- 対象部位の確認が比較的容易なもの
という観点から、表1の7つが選定された。空調設備は一般的に改修(買い替え)が容易であるが、エネルギー消費量が多く、省エネが求められることから選定された。
新ラベルを使用する場合、「窓」と「給湯器」のいずれかが必須表示であるのに対して、外壁等の部位はラベル使用者が任意で表示可能とする。つまり、窓や給湯器の省エネ改修をせず、外壁やドアだけを改修した場合は、このラベルを使用することは出来ない。
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