残業規制で「工期見直しは難しく、働き方はかえって厳しくなる」が4割、野原グループが現場監督を調査:調査レポート(3/3 ページ)
野原グループのBuildApp Newsは、現場監督や所長(現場代理人)を対象に、建設の2024年問題と現場の業務デジタル化の意識を調査した。調査結果によると、4割が「適正工期の見直しは難しく、働き方はかえって厳しくなる」と回答し、残業規制の影響をより強く懸念していることが判明した。
使いこなしたいデジタル技術は「BIM」がトップ
デジタル化による生産性向上、業務効率化が遅れている業務プロセスは、1位「施工/専門工事(47.2%)」が2023年調査結果よりも6ポイント上昇。2位「施工管理(33.2%)」は1.7ポイント増えていた。そのため、現場監督や所長(現場代理人)は、建設現場での施工関連プロセスの「デジタル化による生産性向上、業務効率化の遅れ」を感じている方が増えていると推測される。
使いこなすことができればよいと思うデジタル技術は、1位「BIM(3Dモデルで企画・設計・施工・維持管理に関する情報を一元管理)(23.5%)」、2位「施工管理ツール(20.5%)」が他のツールに比べて数値が高かった。2023年から2024年の経年推移をみると、1位「BIM(23.5%)」は2023年調査結果よりも4.4ポイントも増加した。
「BIM を使いこなしたい」と回答した72人に理由を問うと、BIMの情報管理性、分かりやすさから効率化や生産性向上を期待する声が多かった。
実際のBIM活用は、34.5%しか活用できておらず、業界人1000人の回答結果よりも「活用している」と答えた方は少なかった。そのため、現場監督や所長(現場代理人)は、BIMを使いこなしたい気持ちがあるにもかかわらず、実際にはBIM活用は進んでいない実態が明らかになった。
一方、年代別に「実際にBIMを活用している」現場監督や所長(現場代理人)の割合をみると、30代で70.6%と最多。30代の約3割が「BIMを使いこなしたい」との結果がでていることから、30代の現場監督・所長(現場代理人)はBIM活用に意欲的とみられる。
調査の概要
集計期間:2024年1月15日〜1月22日
回答数:1000人
調査対象者:全国の建設業界従事者
調査方法:ゼネラルリサーチによるインターネット調査
調査元:BuildApp News編集部
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 「施工ロボットに期待が集まる。BIM活用は費用や発注者の理解などが障壁に」建設デジタル技術の実態調査
BuildApp Newsが建設業界で課題解決を期待するデジタル技術の調査結果によると、建設RXコンソーシアムを中心にゼネコン各社の連携が進む「施工ロボット」に最も期待が集まった。一方で「BIM/CIM」は、大手ゼネコンとそれ以外で導入実態に差がみられ、導入費用や発注者から求められていないなどがネガティブ要因として挙がった。 - スポーツ観戦の距離を超え選手と観客を音声でつなぐ、パナソニック EW社の「チアホン」
新型コロナウイルスの5類移行を受け、スポーツイベントの客足回復が進んでいる。イベント自体の面白さはもちろん、リアル観戦にしかない選手たちの戦う姿に心を動かされる人々は多い。そうした中、試合中に選手と観客をダイレクトでつなぐツールとして導入されつつあるのが、観戦時の音声配信クラウドサービス「CHEERPHONE(チアホン)」だ。 - 「建設業に就職した大学新卒者、10年で3割増加」大学/大学院新卒の就職動向を調査
本連載では、総合人材サービス会社で建設業向けの人材サービスを展開するヒューマンリソシアが、独自に調査した建設業における人材動向を定期レポートとしてお届けする。建設業従事者の人材動向に関する実態を解明し、建設業各社の採用・定着に向けた戦略を考えるうえで少しでもお役に立てれば幸いである。今回は、文部科学省の「学校基本調査」から、2023年3月の大学/大学院新卒の建設業への就職動向を探った。 - 建設業の約7割が「人手不足」 前回調査から微増、改善傾向見られず
帝国データバンクは人手不足に対する企業の最新動向を公表した。建設業では人手不足を実感している企業が約7割で、前回調査から3.6ポイント上昇し、深刻さが増している状況が浮き彫りになった。 - 建設業を悩ます“2024年問題”【後編】完全適用を前に、今備えるべきこと
2024年4月1日、5年間の適用猶予期間を終え、建設業でもいよいよ罰則付きの時間外労働の上限規制が始まる。違法と認められた場合、罰則が科されるおそれがあり、悪質なケースでは厚生労働省が企業名を公表することになる。法適用まであと数カ月と迫った今、建設業が何をすべきかを考える。 - 建設業の人材動向レポート(52):「手持ち工事高は豊富も、受注工事は減少。中長期で伸び悩む懸念」建設市場を独自調査
本連載では、総合人材サービス会社で建設業向けの人材サービスを展開するヒューマンリソシアが、独自に調査した建設業における人材動向を定期レポートとしてお届けする。建設業従事者の人材動向に関する実態を解明し、建設業各社の採用・定着に向けた戦略を考えるうえで少しでもお役に立てれば幸いである。今回は、2022年度と2023年度上半期の出来高と手持ち工事高の状況から、建設市場の動向を探った。