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情報学の視点から建築を再構成する「建築情報学」の新しい地平 次世代設計者を育成するアカデミズム最前線Archi Future 2023(3/3 ページ)

建築情報学とは、情報技術の発達と浸透による根源的な影響を踏まえ、「建築」という概念を情報学的視点から再構成することを目指す新たな建築領域の学問。コロナ禍の2021年度に学会を設立し、次世代の設計者を育成する「そだてる」、学術論文の査読と公表などの「ふかめる」、学会内外との交流を図る「つなげる」の3本柱で展開している。

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全国にいる建築情報学を追求する人たちの接点となる場を

 つなげる(交流活動)では、「建築情報ジョブフェア」を展開。交流活動委員会の人材仕事ワーキンググループが運営する企画で、企業と学生のマッチング活動だ。

 背景には、「建築情報分野における企業の採用件数が非常に少なく、活動が見えにくいため、建築情報領域で学ぶ学生の就職活動が難しくなっている」という問題意識だ。企業と学生との交流の場を設け、企業での業務内容/採用人数や学生の活動や就職活動に対するニーズを顕在化させ、効率的なマッチングを目指す。

 ジョブフェアはオンラインで、前半は賛助会員ゴールド企業が単独で、後半はシルバー企業が2つのトラックに分かれ、それぞれ交流セッションを行う。学生や教員は任意のセッションに参加できるが、企業は他社のセッションに参加できない仕組みとなっている。 イベント直前には、参加する企業や学生、教員に対して事前に実施したアンケートしてまとめた、参加者のプロフィールや建築情報分野の資料を配布する。イベント終了後、セッションの内容やその資料を基に、互いに連絡をとって交流を深める。

参加者のプロフィールや建築情報分野に対する考え方/ニーズを資料化し、提供することで、互いへの理解が深まりやすくなる
参加者のプロフィールや建築情報分野に対する考え方/ニーズを資料化し、提供することで、互いへの理解が深まりやすくなる

 池田氏には、企業から建築情報系の人材をどうすれば探せるかという相談がよく寄せられるという。一方、広島県で教壇に立つ杉田氏も、広島の学生が東京の企業とつながる機会は限られるとし、ジョブフェアが全国で同様の悩みを抱える建築情報系学生の就職につながることを期待している。

 交流委員会の「建築情報学会Meetup」も、学会員相互と外部との交流を創出するつなげる活動だ。建築情報学に関わる人が気軽に出会い、刺激し合うことで、「カジュアル」「楽しさ」「発見」「出会い」「驚き」などを感じられる場となっている。

渋谷の「東京カルチャーカルチャー」でのMeetup Vol.6「まちづくりと建築情報学」。Meetup初のオンサイトでの開催となった
渋谷の「東京カルチャーカルチャー」でのMeetup Vol.6「まちづくりと建築情報学」。Meetup初のオンサイトでの開催となった
交流が生まれるための工夫
交流が生まれるための工夫

 池田氏は、「建築情報学会はコロナ禍で始まった学会。さまざまなことをオンラインで進めてきたが、リアルで交流する場も大切にしたい。Meetupはその思いを噛(か)み締めながら作ってきたイベント」と力説した。杉田氏も「こういう場に学生が参加することで、いろいろな縦のつながりが生まれるはず」と活動の意義を説明した。

「従来の学会イメージからはみ出すチャレンジが、建築情報学会らしさ」

 学会活動として最後に紹介したのは、年次大会「建築情報学会WEEK2024」。期間は2024年3月2〜5日。オンラインと一部リアル会場のハイブリッド形式での開催は、大会初の試みとなる。基調講演やラウンド・テーブル・ディスカッションは、オンラインが基本となる。一方、リアル会場となる東京大学工学部1号館15号講義室KAJIMA HALLの入り口には、Challenge2023で最優秀作品として選ばれた「キメラ集成材列柱空間」(野田元氏、水野祐紀氏、須藤望氏)のインスタレーションを展示。

 池田氏は、これまでの活動報告を踏まえ、「建築情報学会は、従来の学会イメージからはみ出して、チャレンジしている建築情報学会らしさを感じてもらえたと思う。ぜひ多くの方が参加し、新しい提案や活動の広げ方を提案してほしい」と訴えた。

 杉田氏は、「Meetupをはじめ、気軽に参加できるものを含め、学会にはいろいろな活動を展開している。今回の講演をきっかけに興味を持ち、何かしらの形で関わってほしい」と参加を呼びかけ、講演を締め括った。

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