調査リポート
「施工ロボットに期待が集まる。BIM活用は費用や発注者の理解などが障壁に」建設デジタル技術の実態調査:調査レポート(2/2 ページ)
BuildApp Newsが建設業界で課題解決を期待するデジタル技術の調査結果によると、建設RXコンソーシアムを中心にゼネコン各社の連携が進む「施工ロボット」に最も期待が集まった。一方で「BIM/CIM」は、大手ゼネコンとそれ以外で導入実態に差がみられ、導入費用や発注者から求められていないなどがネガティブ要因として挙がった。
背景には建設産業内の契約形態や重層下請構造が…
「BIMを活用しない、できない」と回答した624人を対象に、その理由を聞くと(複数回答)、「ソフトが高額で購入や維持ができない(199人)」と「業務の関係者や発注者から建築BIMの活用を求められていない(199人)」が同率1位、3位「BIMソフトを使える人がいない/不足している(191人)」だった。
最多回答数の項目に着目し、従事業務別では、「業務の関係者や発注者から建築BIMの活用を求められていない」が多く、建設産業内の契約形態(請負契約における工事発注者/受注者の関係性)や重層下請構造の影響がうかがえる。業種別では、「準大手/中堅ゼネコン」「工務店」「専門工事店」は「BIMソフトを使える人がいない/不足している」が多く、BIM人材の育成にも課題がありそうだ。
今回の調査結果を受けて野原グループは、現状を打開するために、建設業界従事者の多くが、BIMソフトがなくても簡単にBIMのメリットを感じ生産性を向上できる基盤環境としてのBuildApp事業を強化していくとしている。
調査の概要
集計期間:2024年1月15日〜1月22日
回答数:1000人
調査対象者:全国の建設業界従事者
調査方法:ゼネラルリサーチによるインターネット調査
調査元:BuildApp News編集部
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