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インタビュー

大成建設 技術センターに聞く 7軸自由度の“移動式3Dプリンタ”を開発した真意デジタルファブリケーション(2/3 ページ)

大成建設は、今までになかったデザインや施工の効率化を可能にする手段として、建設用3Dプリンティングの技術開発に注力している。従来のガントリー型3Dプリンタを大幅に刷新した最新の移動式3Dプリンタは、これまで課題だった3Dプリント範囲の拡大や鉄筋かぶりの最適化などを実現し、建設用3Dプリンティングを次のステージに押し上げるデジタルファブリケーション技術として注目を集めている。

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 移動式3Dプリンタは、重さ1トン強で、全長2メートルのレール上をロボットアームが移動する。固定設置されたロボットアームだと、アームが届く範囲が限界となるが、レールを移動することで幅7メートルの造形物まで一気にプリントできる。7メートルを超える大きさの製作でも、レールを伸ばすことで対応可能だ。

 レール上を移動しながら建造物を作る技術は、線上に並ぶ構造物の施工を効率化する。取材に同席した大成建設 技術センター 社会基盤技術研究部 材工研究室 コンクリートDXチーム チームリーダー 木ノ村幸士氏は、「現場での3Dプリンティングでは、まずは形状が比較的シンプルな構造物の施工の省力化/省人化がターゲットとなる」とし、壁や高欄などの他、橋脚やケーブルトラフのような構造物で用途が見込めるという。

移動式3Dプリンタの可動範囲
移動式3Dプリンタの可動範囲 提供:大成建設
【大成建設公式チャンネル】移動式3Dプリンティング技術 移動しながら3Dプリンティング
【大成建設公式チャンネル】移動式3Dプリンティング技術 移動しながら3Dプリンティング(早送り動画)

鉄筋の裏側への回り込みに対応 適正な“鉄筋かぶり”を実現

 多関節のロボットアームでノズルを制御することで、旧来のガントリー方式では難しかった吐出ノズルを傾けた状態でのプリンティングが可能となった。また、ロボットアーム全体を自在に動かすことで、鉄筋の裏側にもノズルを傾けた状態で吐出できるようになった。そのため、裏側にある鉄筋に対して、“鉄筋かぶり”を適正な厚さで施工可能になる。

 フレーム内にノズルを吊(つ)ってプリントするガントリー型3Dプリンタでは、ノズルを鉛直方向に固定した状態でプリント材料を吐出する。そのため、基礎から垂直に立ち上がる鉄筋に近接するには限界があった。ノズル本体のサイズのために、一定間隔で鉄筋に近づけず、過剰な鉄筋かぶりの原因となっていた。

ガントリー型3Dプリンタでは、ノズルのアプローチが垂直方向に固定される。基礎部分から垂直に立ち上がる鉄筋との干渉を避けるため、鉄筋に近接する吐出は不得意だった
ガントリー型3Dプリンタでは、ノズルのアプローチが垂直方向に固定される。基礎部分から垂直に立ち上がる鉄筋との干渉を避けるため、鉄筋に近接する吐出は不得意だった 提供:大成建設

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