「スーゼネ3社で売上好調も、建設コスト高で減益」2024年第2四半期決算:調査レポート(2/2 ページ)
建設業関連6業種の第2四半期決算実績(2024年3月期)をまとめた。いずれの業種も売上高は前年同期比で増加したが、長引く建材やエネルギーの価格上昇により、収益力が低下しているケースも見られた。
土木工事業は6社で増収増益
土木工事業10社の合計額は、売上高8293億6600万円(前年同期比10.0%増)、営業利益344億2500万円(同60.4%)、純利益219億900万円(同36.9%増)の増収増益。個別にみると6社で増収増益となったものの、10社中3社が減益、2社が減収となった。
東亜建設工業は、国内の土木、建築事業ともに大型案件を中心に工事が進捗し、売上高は前年同期比38.3%増加、国内土木事業での高採算工事の売り上げなどにより増収となった。
また、東洋建設は、前期からの繰越工事の増加などにより、国内土木事業の売上高が前年同期比30.3%増加。全体の売上高は同20.8%増加した。
住宅・不動産業は明暗分かれる
住宅・不動産業の決算では明暗が分かれた。10社合計額では売上高7兆円4558億3600万円(前年同期比7%増)、営業利益9549億8200万円(同21.2%増)、純利益は5572億5000万円(同11.8増)の増収増益となったものの、個別にみると、増収増益の企業は5社にとどまった。
大和ハウス工業は3期連続の増収で、売上高は過去最高となった。大和リゾートの株式等の譲渡や、大和ハウスリート投資法人の投資口の一部売却などに伴い特別利益448億円を計上、純利益は前年度比45.8%増加し、過去最高となった。
三菱地所の売上高は前年同期比1.1%減、また、前期の海外大型キャピタルゲイン剥落などにより営業利益は36.4%減少した。同社によると、分譲マンションの引渡しや物件売却は下期偏重であり、通期想定達成に向けて契約は順調に進捗しているという。
電気通信業は6社で増収総益
電気・電気通信設備工事業の主要10社合計額は、売上高1兆8399億3700万円(前年同期比7.8%増)、営業利益7474億4800万円(同36.1%)、純利益526億8000万円(同6.5%増)の増収増益。個別にみると6社で増収増益となったものの、10社中3社が減益、2社が減収となった。
エクシオグループでは、大規模データセンターの引き合いが継続しており、その他の大型開発ビル案件も含め電気関連工事が好調に推移したという。きんでんの売上高は、情報通信工事や環境関連工事が減少したが、配電工事や一般電気工事の増加により全体では同4.9%増加した。
管工事業は増収増益、プラント・エンジニアリング業は減益に
管工事業主要10社全体では、売上高6772億9600万円(前年同期比20.1%増)、営業利益271億4400万円(同109.8%)、純利益221億4100万円(同117.4%増)の増収増益。個別にみると7社で増収増益となった。
また、プラント・エンジニアリング業の主要10社合計は、売上高1兆2954億5000万円(前年同四半期比28.6%増)と増収だったものの、営業利益559億5700万円(同9.9%減)、純利益440億円8900万円(同17.6%減)の減益となった。
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