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大成建設がリコーのプロジェクターで300インチ墨出し投影に成功 共同開発はBUILTがきっかけ?2025年度に実用化後は外販も視野に(1/2 ページ)

大成建設は、プロジェクションマッピングを利用した独自の墨出し技術「T-iDigital MARKING」をリコーとの共同で、投映面積を300インチに拡大させるなどの高度化を図った。プロジェクター技術を有するリコーが協力した契機となったのは、驚くことにBUILTのメールマガジンだったという。

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 大成建設とリコーは2023年10月19日、プロジェクションマッピングを利用した墨出し技術「T-iDigital MARKING」の専用プロジェクターを開発することで、さらに高度化させたと発表した。今回の性能向上により、投映面積は従前の3.5倍以上となる300インチ(約6.6×3.7メートル)に拡大。自動補正で図面との投映誤差も2ミリ以内に抑え、現状では専門工事業者が工種ごとに行っている墨出し作業の合理化や省力化が図れるようになった。

 神奈川県横浜市戸塚区の大成建設 技術センターで、進化したT-iDigital MARKINGのデモンストレーション見学と両社の担当者に開発経緯を聞いた。

「T-iDigital MARKING」の高度化に向け、4K超単焦点の専用プロジェクターを開発

専用プロジェクターで地面に投影した図面
専用プロジェクターで地面に投影した図面 筆者撮影
大成建設 設備本部 設備企画部 設備企画室 大川洋氏
大成建設 設備本部 設備企画部 設備企画室 大川洋氏

 建設工事では、各工程の最初に、設計図や施工図に記載された基準線や設備機器の取付け位置などの寸法を施工現場に原寸大で書き出す“墨出し”をしている。しかし、大成建設 設備本部 設備企画部 設備企画室 大川洋氏によれば、不可欠な工程でありながら、「手間と時間がかかるのが長年の課題で、現在は少子高齢化を受け、担い手の墨出し工も不足している状況だ」と指摘する。

 墨出しの省人化や省力化が求められるなか、2021年に大成建設はプロジェクションマッピングを活用した墨出し技術「T-iDigital MARKING」を実用化。建物の床面に原寸大で投映した図面に沿って作業員が直接マーキングすることで、正確かつ迅速な墨出しを可能にした。

 今回の高度化では、従来のプロット図の設備だけに限らず、より精度が求められる壁やドアなどの内装に関わる部分の仕上げ墨出しにも対応するべく、主にオフィス用途でプロジェクターを展開し、知見と実績のあるリコーとともに専用機を開発した。

今回開発した“超単焦点”タイプの専用プロジェクター
今回開発した“超単焦点”タイプの専用プロジェクター 提供:大成建設、リコー

 専用プロジェクターは、短い距離で大画面を投写する“超単焦点”タイプ。投影画角は以前使用していた機種の2K(1920×1080ピクセル)で160インチ(約3.5×2.0メートル)に対し、4K(3840×2160ピクセル)で300インチ(約6.6×3.7メートル)に投影範囲を拡大している。300インチとなったことで、仮に24平方メートル前後のワンルーム図面であれば1度の投影で完了する。

 投影精度については従来、平滑床で最大6ミリのズレがあり、建築墨出しには向かなかったが、新機種は2ミリ以内(外周部は3ミリ程度)にまで抑えた。墨出し位置を移し替える盛替え時間も、8分から5分に短縮。同じ間取りが並ぶ共同住宅だと、繰り返し作業なので削減時間3分の乗算となるため、作業時間の大幅な削減が見込める。大川氏は、「高品質な画質で、広範囲の図面投影が可能となり、職人不足に悩む墨出し作業に省人化がもたらされる」と期待を寄せる。

「T-iDigital MARKING」の新旧比較
「T-iDigital MARKING」の新旧比較 提供:大成建設、リコー

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