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改正省エネ法の対応実務のポイント、2024年度からの報告・任意開示にはどう対応すべき?背景から実務の要点・今後のGXマネジメントまで解説(3/5 ページ)

2023年4月から施行された改正省エネ法。新たに再エネや非化石エネルギーの利用に関する内容を報告書に盛り込む必要があるなど、事業者はこれまでと異なる対応が求めらるようになりました。本稿ではこうした改正省エネ法に対する具体的な対応の要点や、今後の社会情勢を見据えたGXマネジメントのポイントまで解説します。

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(2)非化石エネルギーへの転換【対象:特定-第4表3※新規追加】

 これまで政府によりカーボンニュートラルに関する目標が設定されたものの、削減目標の設定は事業者ごとに任意の取り組みでした。

 今回の法改正では、省エネ法の目的として、エネルギーの使用の合理化だけでなく、非化石エネルギーへの転換が追加されたことを受けて、非化石エネルギーに関する定量目標の設定及び使用状況の報告が新たに追加されました。これは、法律に基づきカーボンニュートラル目標の提出がついに課されたものと解釈できます。

 したがって、これまでカーボンニュートラルに向けた取り組みにあまり積極的に取り組んできていなかった事業者においても、カーボンニュートラル目標や非化石エネルギーへの転換に関する具体策を事業者全体として本格的に検討し、報告する必要があります。

 日本において排出量の多い主要5業種8分野に関しては、目標設定に関して目安が設定されていますが、それ以外の業種では今のところ目安が示されていません。

 そのため、今回の中長期計画書の報告において、目標設定を悩む企業も一部見受けられました。目標設定においては、政府によるカーボンニュートラル目標を意識しながら、ステークホルダーの納得感を十分考慮し、自社の取り組み状況、先行する同業他社の目標値をもとに総合的に設定していくのが望ましいと考えます。

 なお、非化石エネルギーの転換における非化石電気の使用状況では、「すべてのエネルギーの使用の合理化」とは別に、電気の一次換算係数は、いずれの電気の種類でも8.64(GJ/千kWh)を乗じて算出することを基本としています。ただし、非化石電源への投資を評価するため、そのうち重みづけ非化石に該当するものは、使用量に1.2を乗じて算出します。


図8 重みづけ非化石の対象となる非化石電気の類型(筆者にて作成)

(3)電気の需要の最適化

 従来、電気需要平準化では、電気の使用を昼間から夜間電気への移行・平準化を促すため、昼間電気と夜間電気を区別して報告していました。しかし、電気需要最適化を促すためには、昼・夜の区分に関わらず、電気の使用状況を把握する必要があることから、新たに月別または時間帯別での電力使用量の報告が新設されました(【対象:特定-第2表1-2】)。

 原油換算klの算出にあたっては、月別の場合、資源エネルギー庁のホームページにて公表されているエリアごとの月別電気需要最適化係数を使用します。時間帯別の場合、エリア別・時間帯別の各コマに「出力制御時間帯」「需給が厳しい時間帯」「その他の時間帯」が設定され、その区分ごとの一次換算係数を使用して計算します。


図9 月別で電気使用量の原油換算kLを算出する方法

図10 時間帯別で電気使用量の原油換算kLを算出する方法 出典:2023 年度版 省エネルギー法 定期報告書・中長期計画書(特定事業者等)記入要領(https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/enterprise/factory/support-tools/data/kojo-kinyuyoryo23_v.2.pdf)

 ポイントとしては、月別・時間帯別の選択にあたり、事業者は、事業所単位で選択することはできません。したがって、複数エリアに事業所を有する事業者は、再エネ出力制御の頻度はエリアによっても異なるため、どちらのほうが有利な報告となるか、計算したうえで選択するのが望ましいでしょう。

 また、電気の需要最適化を促すため、DRを実施した日数についても新たに報告が必要となります(【対象:特定-第2表1-3】)。

 小売電気事業者やアグリゲーター等によるDR指令にもとづくものだけでなく、事業者自らが自主的に行うDRも実施した日数としてカウントできるため、次年度の定期報告書作成に向けてDRの実施状況について今から記録を取っておく必要があります。なお、複数の事業所を有する場合は、最もDRの実施回数が多い事業所の日数を報告するルールとなっています。


図11 DRのカウント可否一覧(筆者にて作成)

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