道路インフラ点検“義務化”の成果からみる老朽化の現状「点検は進むも、劣化した3万橋が未対策」:産業動向(2/2 ページ)
2014年度に始まった道路インフラの定期点検義務化。2022年度までに2回が実施され、橋梁は83%が点検済みとなったものの、地方自治体などで早期に対策すべき橋梁のうち半数以上が未着手で、老朽化対策に差がある実態が分かった。
トンネルは2巡目点検のうち、40%が対策に未着手
トンネルでは、2巡目点検で区分IIIとIVに判定されたもので、修繕に着手した割合は、2022年度末時点で「国土交通省」233カ所で64%、「高速道路会社」174カ所で51%、「地方公共団体」1067カ所で61%(内訳:「都道府県政令市」960カ所で66%、「市区町村」107カ所で36%。
既に完了した割合は、「国土交通省」56カ所で15%、「高速道路会社」76カ所で22%、「地方公共団体」458カ所で26%。既に修繕が完了した割合は、「国土交通省」15%、「高速道路会社」22%、「地方公共団体」26%。まだ未着手のトンネルは、全国990カ所で40%となっている。
1巡目も含めると、区分IIIとIVの判定は全国計3586カ所に対し、まだ未対策のものは、1173カ所で33%。
5年後に劣化の深刻度が増した橋梁は、全国で4%
1巡目と2巡目の比較では、1巡目点検で健全や予防保全の観点から措置を講ずることが望ましい状態(区分I、II)とされた橋梁のうち、措置を講じないまま、5年後の2巡目点検で、早期または緊急に措置を講ずべき状態(区分III、IV)へ深刻度が増した割合は、全道路管理者合計で4%となった。
同時に、建設後経過年数に比例して、判定区分I、IIからIII、IVに遷移した割合が高くなっている。
また、地方公共団体1788団体のうち、集約、撤去、機能縮小を検討しているのは、2019年度末から毎年増加し、2022年度は前年度の35%631団体を大幅に上回る、80%の1432団体となっている。
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