ウェザーニューズとオムロンが小型気象IoTセンサーを共同開発 局所的な現場の天候をリアルタイム観測で“減災”へ:維持管理(2/3 ページ)
ウェザーニューズとオムロンは、狭小な現場でも設置しやすい小型の気象IoTセンサー「ソラテナPro」を共同で開発した。高性能のIoTセンサーで現地の気象をリアルタイムで可視化し、建設現場の安全対策などに役立てられる。
設定した数値を上回る雨量や風速を観測すると、プッシュ通知
防災面でも、実践的な活用を想定した機能を搭載。ユーザーが自由に設定した所定の気温や雨量、風速に達した場合には、アプリのプッシュ通知ですぐに知らせる。通知する数値は、デフォルトで2段階の設定ができる。風速10メートルと15メートルの2段階で通知設定すれば、10メートルのときに暴風対策を準備し、15メートルの通知が届けば準備から実行へ移すなど、迅速な災害対応が実現する。
PC版の専用Webサイトでは、クラウドと接続して過去のデータをCSVファイルに出力可能で、企業ごとに必要な天候のデータを扱えることもメリットとなっている。
ソラテナProのユーザーには、アプリ有料コンテンツの「雨雲レーダー」や「台風進路予測」「停電リスク予測」といった機能も全て開放している。1つのアプリ上で現場と全般的な気象予測の情報をシームレスに閲覧できるので、業種を限定せずにビジネスのさまざまな場面に役立つ。
ハードウェア開発に長けたオムロンと連携
ソラテナProのハードウェア面には、連携したオムロンのノウハウが存分に生かされている。
ウェザーニューズでは、前身となる小型観測機を独自に開発していたが、今回の製品は本格展開を目指していたため、ハードウェアの開発力を有する提携企業を探していた。以前に開発した小型気象センサー「WxBeacon2」で、オムロンのセンシング技術を使用してユーザーからの評判が高かったことから、ソラテナProの製品開発でもオムロンの協力を依頼することとなった。
両社の共同開発は2022年3月からスタート。会見に出席したオムロン デバイス&モジュールソリューションズカンパニー 営業統括本部 新規事業推進部 部長 岡孝則氏は、「当社が持つ製品や技術のノウハウを用い、いかに早くソリューションを提供できるかにチャレンジした」と振り返る。
オムロンはセンサーや電源、通信技術などの製品/サービスとともに、多様な部品類を組み込んで小型パッケージ化する技術に長けている。今回はさらにスピード感のある製品提供にチャレンジするべく、チームによる効率的な開発環境に重点を置き、電子部品類の開発と生産機能が集約されている岡山事業所で集中的に製品化に取り組んだ。
ポイントとなったのは、顧客側のウェザーニューズとの開発段階でのコラボレーション。岡氏は、「オムロンはハードウェアのプロフェッショナルだが、気象に関しては分からない。本当に求められているセンサーを作るためには、ウェザーニューズの知見は不可欠だった」と語る。
開発のロードマップでは、まず勉強会からはじめ、各センサーの性能を試すさまざまな状況をウェザーニューズ側が用意。その後、データを双方でディスカッションして、「開発に生かす“PoCサイクル”を構築し、効率的な開発体制のもと、15カ月で完成させた」と岡氏は総括する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.