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“新国立競技場”設計BIMの実践がArchicad新機能開発のヒントに!日建設計とグラフィソフトジャパンの挑戦Building Together Japan 2022(2/4 ページ)

戦略的パートナーシップを締結して、Archicadの機能向上に努めてきた日建設計とグラフィソフトジャパン。その協働の歩みと、新機能開発にもつながる日建設計のBIM活用術を探った。

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建物のデザインから環境シミュレーションまで、日建設計流のBIM活用術

 続いて恩田氏が、2つの事例を紹介しながら日建設計のBIM活用の実際についてプレゼンした。

日建設計 設計部門 設計グループ ダイレクターアーキテクト 恩田聡氏
日建設計 設計部門 設計グループ ダイレクターアーキテクト 恩田聡氏

 1件目の事例は、栃木県日光市にある中禅寺湖畔に建つ、2階建て鉄筋コンクリート造の戸建て住宅「on the water」だ。前面道路と湖面には7メートルの高低差があるため、建物にスパイラル状の空間構成をもたせ、道路から湖まで人を導くプランとなっている。恩田氏は、「当初は2DCADでの設計を考えていたが、複雑な形状のため3DCADでの設計に変更し、初期段階から模型とBIMで設計を進めた」と語る。

「on the water」の模型
「on the water」の模型
「on the water」の空間構成。螺旋(らせん)を描きながら湖面にアプローチする
「on the water」の空間構成。螺旋(らせん)を描きながら湖面にアプローチする

 BIMを活用するうえで、建物のBIM化とあわせて着手したのが、国土地理院の標高データを3D化し、建物のデータとの融合だ。「Archicadで作成したBIMモデルを閲覧できるBIMxで、統合データを確認しながら、基本計画の早い段階から、湖や山の絶景に対して、どのように建物を配置するか、どのような形の開口部をどこに開けるかなどのスタディーを繰り返した」(恩田氏)。

上がBIMで作成してBIMxで検討したイメージで、下が同じアングルの竣工写真。BIMを使うことで、設計初期段階からリアルなスタディーができた
上がBIMで作成してBIMxで検討したイメージで、下が同じアングルの竣工写真。BIMを使うことで、設計初期段階からリアルなスタディーができた

 中前地湖畔は、冬季の積雪が多い地域であることも考慮し、自社の構造設計者と連携し、屋根形状をBIMモデルで検討した。具体的には構造設計者が構造解析ソフト「MIDAS(マイダス)」で屋根とロングスパンは梁(はり)のたわみを確認し、そこで導き出された梁をArchicadに落とし込んで、意匠設計者がデザインを固めるという方法を採用した。

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